舞台「ふたりものがたり」  Ⅰ「乳房」 Ⅱ「檀」

■「ハッピーアワー」という映画をご覧になっただろうか。昨年のロカルノ映画祭で4人の女性が最優秀女優賞を受賞した、というニュースは知っていた。知人の脚本家から「是非みて!」とすすめられ、さほど期待もせず小さな映画館に出掛けた。出演者は全員ワークショップ出身の素人、しかも5時間17分という長時間上映。3部構成でいつリタイアしてもいいはずが、遂に最後まで見通してしまった。劇的な物語性とは無縁の、アラフォー女性4人の日常が淡々と描かれるだけなのに…。キネマ旬報ベストテン3位だそうだ。■「なぜ舞台の世界に惹かれたのか?」という問いに、ある舞台俳優が答えていた。「小学生の頃、巡回でやってきた演劇を鑑賞中、自分の足元に小道具の林檎が転がってきた。舞台と自分が一体化したようですごくワクワクした。これが原点」と。■いま私のキーワードは「体験」だ。映画「ハッピー…」では、ただ彼女らの日常を共に体験したかったのだ。また、映画やテレビでは決して起こり得ない、足元に転がり込む林檎の実感を体験したい、と思っている。■新潟りゅーとぴあ芸術監督から「舞台をやらない?」と誘われたのは、NHK連続ドラマ「書店員ミチルの身の上話」のOA直後だった。漠然と「次はこぢんまりした作品を—」と考えていたので、男女ふたりのリーディングを提案した。「乳房」は、故夏目雅子さんとの最後の日々を描いた伊集院静氏の自伝的短篇小説。「檀」は、沢木耕太郎氏が無頼派作家・檀一雄の未亡人を取材して書いたノンフィクションが原作だ。作者のご了解を得て、「乳房」は原作から7年後という設定に変え、「檀」は沢木氏によるインタビュー取材そのものを戯曲化した。舞台に存るのは、優れたふたりの俳優だけ。余分なものを一切排し、そこで何を「体験」できるか? 林檎は転がり込むか? シンプルでミニマルの中に、「ものがたり」の豊穣が立ち上がることを祈って、の挑戦だ。(合津直枝)


Ⅰ「乳房」 ~天上の花となった君へ~  原作:伊集院静  出演:内野聖陽×波 瑠

東京公演:2016年5月7日(土)~15日(日) 俳優座劇場
新潟公演:2016年5月21日(土)・22日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
兵庫公演:2016年5月17日(火)       兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
大阪公演:2016年5月19日(木)       近鉄アート館


Ⅱ「檀」 ~もう一度、妻になれたら~  原作:沢木耕太郎 出演:中井貴一×宮本信子

東京公演:2016年7月19日(火)~24日(日)草月ホール
新潟公演:2016年7月27日(水)       りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
兵庫公演:2016年7月30日(土)・31日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

※「乳房」、売り切れにつき、5/10(火)1400追加公演が決定しました。
※「檀」、チケットセンターにて発売中。
※詳しくは以下 ⇒公式HOME PAGEはこちら よりご覧ください。

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