プレミアムドラマ 「うたの家 ~歌人・河野裕子とその家族 」
◆「最期のあり方を考えると、今の生き方が見えてくる」—ある文芸書シリーズのキャッチコピーである。佐藤正午さん、荻原浩さんなど6名によるテーマ競作小説「死様」は、すばらしい企画だった。発案者である光文社の編集担当の大久保さんは「『死様』を描くことは、決して後向きなことではなく、むしろ最も前向きなことだ」と語った。
◆30年前、父が癌病死した。余命わずかと知った父は、翌日仕事仲間を呼び「後を頼む」と言い、次の日には親友を呼んで学生時代を懐かしみ、3日目には母や私たち娘に「いい家族だった」と初めて感謝の言葉を口にし、その翌日55歳で他界した。優先順位はどうか不明だけれど、父はやるべきことをすべて済ませて去ったのだ、と感慨深い。
◆宮中歌会始の選者を務める河野裕子さんは、「与謝野晶子以来の女流歌人」と言われ、母や妻の目線で何気ない日常を詠み、人気が高い。ご主人・永田和宏さんは細胞生物学者、長男・淳さんは出版社経営、長女・紅さんは京都大学農学博士、とみなそれぞれに別の仕事を持ちながら、4人ともが歌人という「歌人一家」。2000年に乳癌を発病した裕子さんが2010年に他界するまでの10年をドラマとインタビュードキュメントで構成した。
◆死の前日まで病床で歌を詠み、家族を気遣い続けた裕子さんの「死様」は、見事な「生様」だ。今の生き方を見つめるためにも是非ご覧いただければ—と。
◆NOVIA+NOVIO、NAOKO、新健勝苑、○組はじめ多くのご協力をいただきましたこと、ここに御礼申し上げます。
(合津直枝)
◆番組の原案である、「歌に私は泣くだらう~妻・河野裕子 闘病の十年」(永田和宏著 新潮社刊)が、7月20日(金)に発売になりました。
ドラマ出演
風間 杜夫
り り ィ
蟹江 一平
倉科 カナ
インタビュー出演
永田和宏
永田 淳
永田 紅
スタッフ
演出 熊坂 出
脚本 熊坂 出
野々山花見
撮影 橋本 清明
照明 清水 健一
音声 高橋 一三
美術 鈴村 高正
スタイリスト 宮本 茉莉
ヘアメイク 貴島タカヤ
助監督 工藤 将亮
AD 平田 早季
制作担当 宮田幸太郎
AP 井坂 解子
プロデューサー 合津 直枝