新世代が解く!ニッポンのジレンマ 2016年6月 「パクリ?オマージュ?創作のジレンマ」

新世代が解く!ニッポンのジレンマ 2016年6月 「パクリ?オマージュ?創作のジレンマ」

今月のテーマ
「パクリ?オマージュ?創作のジレンマ」

東京オリンピックのエンブレム騒動にTPPの知財交渉――
デザインやコンテンツの権利を守る「著作権」が
今、注目の的。
パクリは悪くてオマージュなら善い?その線引きは
どこにある?
コピー技術が飛躍的に進化するデジタル時代。
それを逆手に取る発想法はないのか?
「著作権」と最前線で向き合うクリエイターや法律家
たちが未来のアーティストが集う東京藝術大学でジレンマ大研究。

<プロデューサー・メモ>
 6月のテーマは「オリジナル」。7月は「中立性」について考えます。どちらも、表現し、伝える仕事につきまとうもの。パクリ(剽窃)ではない「オリジナル」な表現とは? アンバランス(偏向)ではない「中立的」な伝え方とは?
大前提を言ってしまうと、どちらにも最悪な典型が2つあります。1つは、自分が「オリジナル」や「中立」に立っていると勘違いしている者(オメデタイですね)。もう1つは、「オリジナル」や「中立」など、どこにも無いと言い募る者(志が低すぎます)。
 前者は、自分がメインストリームにいる気で、外れた者を容赦なく叩く。後者は、パクリでも偏向でもオールオッケーという自堕落に陥る。どちらを選んでも「イタイ、イタタ…」という、まさに「ジレンマ」。
こうした最悪の2パターンを避け、具体的にどうやって進むか? ポリティカル・コレクトネスも、アファーマティブ・アクションも、快刀乱麻… 当代一流の論客たちの議論に期待しましょう。

 自分を反省してみると… オリジナルや中立に迫ろうとする仕事といえば、「ナレーションの手直し」の作業かもしれません。ディレクターのオリジナル原稿に、プロデューサーとして手を加え、アレンジする。そこで、新たな価値を本当に創造できているかどうか?
 「俳句の添削」でおなじみの夏井いつき先生のように… DNAに進化をもたらす「塩基配列の突然変異」のように… たった一文字の書き換えで、「オリジナル」を劇的に飛躍させるアレンジなら、圧倒的な価値がある。この一点で、剽窃者への評価も、大きく分かれるのではないでしょうか。
 さらに「中立性」とはダイナミックな葛藤や、他者との対話の結果生じるもの。偏向した妄想を抱く者が、結果的に中立性を生むことも可能ですし、客観性(中立性)を装う者が、じつは偏ったエコヒイキをすることだってあるわけです。
 一見、不可能とも思える「不偏不党」へ肉薄してゆく、風通しの良い討論…そんな「ニッポンのジレンマ」にご期待ください。


論客

◆水野佑(みずの・たすく)   1981年生まれ 弁護士

◆Taro Peter Little        1980年生まれ 音楽家

◆櫻井稔(さくらい・みのる)  1982年生まれ デザインエンジニア

MC

◆古市憲寿    85年生まれ 社会学者    
◆二宮直輝    84年生まれ NHKアナウンサー

ディレクター

小寺寛志
三好雅信 
谷本庄平

アシスタントディレクター

黄智姫

Web

大西隼

制作プロデューサー

今野英一郎

プロデューサー

高橋才也