上野に世界遺産が誕生する？！そんなニュースとともに、今、にわかに注目を集める、国立西洋美術館。設計したのは、２０世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ。…舌をかみそうな名前を持つこの巨匠。難しいのは名前だけではない。その風貌からは、一癖も二癖もある人物だというのが見てとれる。そして、若き日の彼の呼び名は、「野心家」「異端児」「裏切り者」・・・なんとも波乱の多い建築人生を歩んだ人物だった。しかし、その独特の存在感や建築思想は、多方面から攻撃の対象となると同時に、世界中の若手建築家たちを強烈に惹き付けた。そして、そのコルビュジエの影響を最も受けている国が、実は「日本」。今でこそ、世界レベルの建築家が何人もいる日本の建築界。そんな日本の建築がグッと“世界レベル”に伸び上がるきっかけとなった出来事こそ、ル・コルビュジエと３人の日本人弟子の出会いだった。
およそ６０年前、そんな師匠と弟子のコラボレーションで誕生した、国立西洋美術館。今回番組では、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」受賞建築家、伊東豊雄がこの美術館をナビゲートする。
世界的にも、日本的にも、国家的にも、建築界的にも、何重にも意味をもつ国立西洋美術館。これは、ただの美術館ではない。
（五鬼助洋美）