旅行業界が主催するイヴェントで講演を依頼された。題目は「制作者から見た旅番組〜変わったものと変わらないもの〜」。「世界ふしぎ発見！」は旅番組ではないが旅行業界向けというので、それに決めた。1200本以上の番組を作ってきたが、何が変わって何が変わっていないか？それを振り返るいい機会になった。まず気づいたのは、番組で取り上げる
テーマが変わった事。より正確に言うなら、驚くほど多様になった。スタート時はかなり直球勝負だった。文明の謎、歴史的事件や偉人等、「歴史と遊ぶ」という基本コンセプトから大きく離れない範囲だった。ところが、2000年を過ぎて、新しい切り口が加わった。例えば、小堺さんがミッフィーをテーマに企画書を書いてきた。最初、会議で、これで「ふしぎ」が出来るのか、いろんな意見が出た。しかし、やってみると作者ディック・ブルーナさんに会いに行く旅と、作品の世界観からオランダの文化を深く探る一本に仕上がっていた。キャラクターがテーマでも「ふしぎ」が出来たのは発見だった。また、工藤さんは、ニュージーランドで婚活をテーマにした一本を作った。題して「キーウィ・ハズバンドを探せ！」。キーウィとは、果物のことではなくニュージーランド固有の鳥。雄が子育てを熱心にする習性がある。「キーウィ・ハズバンド」とは、外ではマッチョでも家では家事をきちんとしてくれるニュージーランドの男性のことである。彼らと結婚した日本人女性を訪ねながら、この国の自然や文化を体感する一本に仕上がった。婚活でもできたのだ！ ひょっとしたら、これからも「こんなテーマで？」と思う切り口で「ふしぎ」が作れるかもしれない。「ふしぎ」は変わり続けている。しかし、勿論、古代文明など「変わらない」テーマも続けますが。
（佐藤寿一）


★２０１２年１月２８日（土）の放送は、２１時～２２時１９分となります。
　　『スーパー絶景2012　今見ておくべき地球の姿スペシャル！』