食彩の王国 2016年9月

食彩の王国 2016年9月

永六輔さんは、常に批判精神を秘めた独特の表現と活動で、サブカルチャーをメインカルチャーに押し上げた人だ。また、話して聴かせる表現を好んだ。古来、情報は語ることが中心だった。浅草の浄土真宗の寺に生まれた永さんは、大衆的な説教を聞いて育った。それが、現代の語り部として生きることに向かわせたのだろう。永さんがラジオに情熱を傾けてきたのも頷ける。そして、真面目なことを言う気恥ずかしさを、ジョークのオブラートで包んできた。全国各地で小さなお話の会を開き、風刺やユーモアで世相を語る姿は坊さんの辻説法そのものだった。
永さんは、テレビに出るタレントが物を食べて、「美味しい!」と言うのを嫌っていた。自分でも、旅先で物を食べるシーンがあると、「食べるところは撮らないで!」と言っていた。そのかわり、その裏側でどんな努力が払われたかを克明に語り、持ち味を伝えようとしていた。あるいは故事来歴によって、目の前の食べ物を浮き彫りにした。
この10月から放送14年目に入る「食彩の王国」は、食材を通じて紡ぐ日本人論だ。食べるシーンを使わないのは、永さんの影響も大きい。
(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日     テーマ   担当D
#644 9月 3日 : 大和野菜  ※VIVIA
#645 9月10日 : レンコン  細村舞衣
#646 9月17日 : 油揚げ   ※VIVIA 
#647 9月24日 : 伊勢エビ  永田曉児

9月のテレビマンユニオン 担当回は・・・ 

『レンコン』
穴から“先が見通せる”ため、縁起物として知られるれんこん。佐賀県の白石町では、一足早い新れんこんの収獲が始まりました。大きな蓮の葉っぱが生い茂る畑で、腰まで泥水に浸かりながら掘っていきます。「まるでアイヌ民話に出てくる 小人、コロポックルのようですね」と、県の広報の人に話したら、「あれは蓮の葉ではなくて、フキの葉です」と言われました。
 愛嬌のある中華料理屋の店長に、蓮の葉っぱでおどけてもらおうと、数枚取り寄せることに。「トトロが傘にしていたくらい大きい葉っぱはありますか?」と、農家の人に尋ねたら、「あれは蓮の葉ではなくて、里芋の葉です」と言われました。明日は雨だけど、案の定、傘持ってきてない。ロケで余った蓮の葉っぱを使おうか。れんこんで覗けば、少しは先読みできるようになれるのかしら。
(鴨下満)


『伊勢エビ』
異国文化が花開く日本の玄関口、長崎。 
この地で今まさに旬を迎える食材がエビの中のエビ、伊勢エビです。漁の解禁に合わせて開催される伊勢エビ祭りでは、巨大な伊勢エビを大胆に使った味噌汁や天丼など、豪華な料理が目白押し!県内外問わず、多くの人が詰めかけます。
今回は、伝統の素潜り漁に密着!天敵のタコを使った驚きの漁とは!?さらに、その昔、西洋から舞い込んだカステラに憧れ、作り上げた伊勢エビを使ったカステラも登場。伊勢エビに夢をかけた男の熱きドラマに迫ります・・・。
(間宮 圭次郎)

プロデューサー

土橋正道

アシスタントプロデューサー

平田早季

ディレクター

前夷里枝
植田裕久
橋本倫
永田暁児
細村舞衣
田中由美
阿部賢実
岸元美江

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

細村舞衣
鴨下満
間宮圭次郎