大型ドキュメンタリードラマ 「開拓者たち」 全6回

大型ドキュメンタリードラマ 「開拓者たち」 全6回

戦前、旧満州(中国東北地方)へわたり、過酷な逃避行と避難生活を体験した末に帰国、戦後の日本で、新たな農地の開拓に挑んだたくましき人々がいた。

 このドラマには、登場人物の心情を託したいくつかの手が登場します。
 満島ひかりさん演じるハツが初めて満州の黒い土を握り締める手、新井浩文さん演じる夫速男が大豆の鞘の実入りを確かめる手、ハツが速男に託された桔梗の種を植える手⋯これらの手は、ドラマのモデルとなった栃木県那須千振開拓団の皆さんの手を参考にさせていただきました。当然ドラマの主要人物のほとんどが農民です。那須の皆さんは、土の状態、作物の成長、収穫の頃合など、とにかく手で触れて確かめるのです。当たり前のことかもしれませんが、強く優しい本物の開拓者たちの手は大いに参考になりました。
 そしてもう一つ参考にさせてもらった手があります。東日本大震災に遭遇した被災者の手です。震災が起きたのはクランクイン2ヶ月前、脚本推敲の頃でした。以後、日常的に報じられた彼らの光景が
次々と目に焼きついてきました。瓦礫の中、家族をなくした父親と娘が握っていた手。避難所、小さな女の子が即席みそ汁のカップで温める凍えた手。尋ね人の貼紙の前、母親と息子が家族の無事を祈りながら合わせていた手。再会した老兄妹が、互いの命を確かめるように頬にあてたしわくちゃの手⋯戦争と災害という違いはありますが、開拓者たちの過去と被災者の現在が重なりました。これらの手は、撮影現場で俳優陣の手となり、ドラマに強い力を与えてくれました。
 あれからもうすぐ一年というこの時期に、私たちスタッフが現在に思いを込めたドラマが再び放送されます。是非ご覧下さい。
(演出 岸 善幸)



BSプレミアムで1月に放送した全4回のドキュメンタリードラマを、好評にお応えし、
新しい素材も加えて再編集した48分版、全6回シリーズです。


※総合テレビでは、4月3日(火)からスタート 毎週火曜 午後10時~ 

第一回 幸せはいつまでも続くはずだった

宮城県の貧しい農家に育ったハツ(満島ひかり)は、「口べらし」として昭和11年、旧満州(中国東北地方)の千振という開拓地に渡り、速男(新井浩文)と結婚する。最初はぎくしゃくしていた速男との間も、しだいに心が通いあうようになり、郷里から兄弟の史郎(石田卓也)、金次(綾野剛)、富枝(山下リオ)も呼び寄せ、ハツは幸せな日々を送った。しかし戦況の悪化で、速男は昭和20年、突然召集される。

第二回 わたしたちは見すてられた

昭和20年8月、ソ連軍が満州に侵攻、前線にいた速男(新井浩文)は負傷し、その後シベリアへ送られる。千振にも避難指示が出て、ハツ(満島ひかり)と史郎(石田卓也)は駅へ向かうが、最後の列車はハツたちを残して発車、過酷な逃避行が始まる。食べ物も尽き、ハツの友人、チエ(徳永えり)は、ある決断をする。一方、千振に残ったハツの友人、鶴子(前田愛)は、暴徒化した中国人の襲撃にさらされていた。

第三回 わたしは泣かない

看護師をしていたハツの妹富枝(山下リオ)は中国の共産党軍に留用され、一方、速男(新井浩文)の仲間の進作(小林且弥)は、千振に戻ったところを捕らえられ、炭鉱に留用された。ハツ(満島ひかり)と史郎(石田卓也)は苦難の逃避行が続き、老いた吾平(大地康雄)を置き去りにせざるを得なかった。方正の収容所にたどりついたハツたちを待っていたのは、ソ連兵の暴行と極寒の冬だった。ハツの次女恵子の容態が悪化する。

第四回 必ず、希望がある。

ハツ(満島ひかり)と史郎(石田卓也)は長春に移動させられ、そこで帰国できるという知らせを聞くが、速男を待つハツは素直に受け入れられない。従軍していた富枝(山下リオ)は、親切にしてくれた中国人将校の徐(裵ジョンミョン)に心を寄せるようになる。帰国したハツは、団長の吉崎(二階堂智)の誘いで栃木県の那須に入植する。そこは不毛の大地だったが、ハツはここで夫の速男(新井浩文)を待つと決意し、開拓を始める。

第五回 山ならここにあるのに

ハツたち(満島ひかり)は貧しいながらも力をあわせ、明るさを取り戻す。しかし、そこに届いたのはシベリアでの速男(新井浩文)の死の知らせだった…。憲兵だった弟金次(綾野剛)はシベリア抑留を経て中国に戦犯として収容される。やがて留用された人たちの帰国が認められるが、富枝(山下リオ)は徐を待つために中国に残ることを決意する。帰国した進作はそこで妻チエ(徳永えり)が再婚していたことを知る。那須のハツたちの開拓地では牛が飼えるようになり、ようやく暮らしに希望が見え始める。

第六回 生きてさえいればなんとかなる

戦犯管理所で拷問を否認していた金次(綾野剛)はやがてすべてを告白し、帰国が認められた。一方富枝(山下リオ)は戦地から
帰ってきた徐と再会、愛を誓う。那須は冷害に見舞われ打撃を受ける。吉崎(二階堂智)は国会で苦境を訴えた。みなが帰ってきて、
史郎(石田卓也)の結婚式が行われた。そこでハツは開拓の日々を振り返る。「生きてさえいればなんとかなる。わたしはいま幸せなの」。そして・・・

出演者

阿部ハツ役  満島ひかり(みつしまひかり)

阿部史郎役  石田卓也(いしだ たくや)
阿部金次役  綾野剛(あやの ごう)
阿部富枝役  山下リオ(やました りお)
浅野速男役  新井浩文(あらい ひろふみ)ほか

主題歌

竹内まりや「いのちの歌」

音楽

菅野祐悟

スタッフ

演 出    岸 善幸 (テレビマンユニオン)
撮 影    夏海光造
美 術    仲前智治/三ツ松けいこ
衣 装    宮本まさ江
メイク    小沼みどり
取 材    中村 豊(テムジン)
編 集    吉岡雅春
サブD    小林正樹/石井永二
ラインP   河北 穣
事業P    富田朋子
演出補    岡下慶仁
A P     竹村 悠
キャスティングP おおずさわこ
プロデューサー 松居 径/北川 惠(NHK)
プロデューサー 矢島良彰 (テムジン)/杉田浩光