めざせ!2020年のオリンピアン/パラリンピアン 2015年6月「ハンマー投げ」「トランポリン」
「うちの子、東京オリンピックに出られるかなあ。」
先日取材したネクストエイジのお母さんが、目を細めながら嬉しそうにそう言いました。
もし70年前だったら、この言葉が発せられることはなかったでしょう。
「お前、スパイにならないか?」
足がとにかく速かった私の祖父は、戦時中にそう誘われたそうです。カタカナ語は禁止されていた時代なので、実際は”密偵”とでも言われたのでしょう。四男坊だし跡継ぎでもないし、戸籍を抹消してスパイ養成機関の陸軍中野学校に入らないか…その最中に終戦を迎えました。
「君、うちで走ってくれないか?」
終戦後、祖父に目を付けたのは大学の競争部、今でいう陸上部でした。スパイになりそこねた青年は、1946年の日本選手権5000mで優勝。戦後復活した箱根駅伝では”山登りの岡”と呼ばれます。「醤油屋の息子だから真っ黒だ」炎天下で黒光りする姿がニュース映画に流され、女の子のおっかけまでいたそうです。
時代が時代だったら、番組の主役であるネクストエイジたちも別の道を歩んでいたでしょう。アーチェリーで10cmの的を射抜く青年は射撃手に、トランポリンで7mのジャンプを跳ぶ青年は特殊部隊に、走っても走っても疲れない女の子は伝令に。驚くべき身体能力をもった彼らは、それはそれは重宝されたでしょう。そして母親たちは、人知れず涙を流したことでしょう。オリンピックは平和の祭典、というのは薄っぺらい言葉ではないのです。
時代が時代だったら、私たちも「いかに戦意を煽るか」と試行錯誤しながらプレビューを重ねていたかもしれません。戦後70年。いつも正月になるとテレビの前に陣取り、嬉しそうに駅伝を眺めていた祖父の姿を思い出しながら、「ネクストエイジとオリンピアンの本気をどう伝えるか」に試行錯誤できる幸せを噛みしめたいと思います。
(岡 瑠里子)
テレビマンユニオン担当回
<<陸上長距離>> 「陸上のぶっとび娘×17歳の新プリンセス」
【放送予定】BS1 6月8日(月)20:00~20:25
10000mロンドン五輪代表 新谷仁美<オリンピアン>×国体3000m女王となった17歳 岡本春美<ネクストエイジ>
<<ハンマー投げ>> 「ハンマー室伏が独創理論を16歳に叩き込む!」
【放送予定】NHK総合 6月9日(火)22:55~23:20
室伏広治<オリンピアン> × 服部優允<ネクストエイジ>
スタジオゲストは 朝原宣治さんです。
<<トランポリン>> 「トランポリン元世界王がジュニア王者にライバル宣言!」
【放送予定】NHK総合 6月16日(火)22:55~23:20
伊藤正樹<ネクストエイジ> × 海野大透<ネクストエイジ>
スタジオゲストは 朝原宣治さんです。
6月の担当回では、投てき種目として日本人初の金メダリストとなった生けるレジェンド、
室伏広治選手が満を持して登場。”気は優しくて力持ち”なハンマー投げの新星・服部優允選手
(高2)に「ハンマー投げとは何か?」問いかけます。
さらに翌週はトランポリン界のスーパースター、ロンドン五輪4位の伊藤正樹選手が登場。
年齢別世界選手権を制した天才・海野大透選手(高1)とのぶつかりでは、
現役同士ならではの熱い火花が飛び散ります。
若いネクストエイジは何を感じ、どう変わるのか?お楽しみに!