挑戦!人類200万年の旅~大英博物館展~

挑戦!人類200万年の旅~大英博物館展~

大英博物館は、揺るがないステイタスを21世紀に入ってさらに強固なものとしている。最近、驚いたのは、大英博がコレクション14点の3Dプリンター用データを無償でネット上に公開するというニュース。エジプト・ファラオの頭像や、イースター島のモアイに匹敵する像など、ケッコウ著名な作品のコピーをどんどんつくって頂いてケッコウというわけ。この3Dデータはプラスチック製だそうで、「石」で作られたホンモノは大英にあるというところがミソ。ホンモノを所蔵し、極上の照明で見ることができる空間こそ、価値がある、ということなのだろうなあと思っていたら、大英はさらに上をいき、ホンモノであるだけではセレクションしないという大変興味深い展覧会がやってくる。今回の「大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史」だ。
展示物には海岸で拾った陶器のガラクタ(失礼!)もあれば、メソポタミア文明の国宝もあり、並列に飾られている。これは大英博物館の館長ニール・マクレガーさんが主観的に選んだ品であり、彼の展示品を選ぶ尺度は人類がどのように変化していったかを語れるモノであり、人類の経験を表すモノを取り上げるという…。だからただ、豊かで権勢を誇ったことがわかるだけではセレクションされない。ホンモノでも豪華なだけではダメ。
ではスマホは選ばれるのか? 人類の経験としては活版印刷機が選ばれるならスマホはありだよなあなどと思いながら、100のモノを眺めていたら、(=人類の経験をモノから眺めていたら)シンプルな美意識とはかけ離れた世界が長ーく続いていることに私は気付いた。人類200万年の旅の中で199万9900年は違うゾ。シンプルってなんなんだろう? きっと皆さんも展覧会にちなんだこの番組を見ると、自分の大いなる人類への疑問が見つかると思います!
長澤智美

D

三好雅信

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河西恭子