Daiwa Houseスペシャル 華・尾上菊之助の世界 ~菊五郎との父子の絆~

Daiwa Houseスペシャル 華・尾上菊之助の世界 ~菊五郎との父子の絆~

 尾上菊之助丈は、祖父に七世尾上梅幸、父に七代目尾上菊五郎という二代続きの人間国宝を持つ、名門「音羽屋」の芸の継承者である。
 BS朝日では、三つの舞台の稽古場と本番を徹底的に見つめることにした。「都鳥廓白浪」(11月新橋演舞場)では、美しく品のある傾城が、実は盗賊団の頭で、さらに名門武家の跡取りという三変化を見事に演じ切る。それは、女方と立役、しかも共に主役級の重い役を「兼ネル」役者としての「音羽屋」の伝統があって始めて可能となる。「摂州合邦辻」(12月日生劇場)の玉手御前は、父菊五郎丈でさえ初役が48歳だった女方屈指の大役で、それを菊之助丈は33歳で務め第18回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した。約200年ぶりの復活狂言「四天王御江戸鏑」(1月国立劇場)では、力強くも妖艶な土蜘蛛の精となって宙乗りを披露。父の「ミニチュア菊五郎になってはつまらないので、手取り足取り教えず、人様に頭を下げて教えを請いに行かせている」という言葉に、芸の道を生きる「音羽屋」の真の父子愛をかみしめた。(三室雄太郎)

P&D

三室雄太郎

撮影

溝口大輔