「ユキチ、ユキチ」っていうけど、本当にどんな人か知っていますか？　「お札」に刷られた「偉人」というイメージを覆す、破天荒な人物像…
　鎌倉へ遊びに行った折、馬に乗った農民が、諭吉に気づくや、下馬したという。諭吉には、この身分制度の残滓がゆるせない。「自分の馬なんだから乗ればいいだろ！」と説教をはじめ、しまいには「乗らなきゃ殴るぞ！」 と脅しだし、「変人」にカラまれた農民は、仕方なく馬に乗って去っていく…
　「日本人の啓蒙」という使命感に取り憑かれた諭吉。その「変人の正論」の数々は、現在の日本にも響いてきます。
　「脱亜論」ばかりが気になって、「丸山眞男は、諭吉を庇いすぎだ！」なんて言う人も多いなか… あらゆる諭吉論を総まくりしつつ、明治以来の日本近代化を、根本から見つめ直します。
（高橋才也）