奇跡のレッスン ~世界の最強コーチと子どもたち~ 2016年5月(アート編)

奇跡のレッスン ~世界の最強コーチと子どもたち~ 2016年5月(アート編)

 アート編の最強コーチ シルバーナ・スペラーティさんの集中力は卓抜したものがあった。子どもと接するのは2時間ほどだが、この時間に彼女は全てを賭ける。毎日レッスンが終わり子どもたちが帰った後、まずは深呼吸を繰り返すのだが抑えきれない興奮状態が続く。そして、私たちに子どもたちの一挙手一投足で気になることを語りかける。「あなたはどう思ったか?」と問い直していくのだ。シルバーナさんは時にうれしそうに、そして不安げに自らの方法に間違いはないかを確かめていった。実はホテルに帰ってからもその検討は続き、毎日ホテルから出発する時には目を赤くして現れた。眠っていないのだろうなと思い、その目を見ながら私は時計を見た。今日も20分以上の遅刻だとため息をつきつつも、準備に手を抜かないシルバーナさんへの信頼は一日毎に深まった。
 子どもたちにシルバーナさんは一度も苦労した顔を見せなかった。
「指導者」は「指導する側」に、どんな時も愚痴はこぼさないことが鉄則なのだ。
長澤智美

最強コーチ シルバーナ・スペラーティ(ブルーノ・ムナーリ協会会長)

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岸枢宇己

取材D

佐藤洋紀

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二階堂茜
花田美乃莉

RS

伊藤暢子

AP

河西恭子