食彩の王国 2011年9月

食彩の王国 2011年9月

  子供時代、駄菓子屋の誘惑は避けて通れない道だった。わずかな小遣いで買うものは質より量。「コッペに○○つけてぇ」と頼むと、四角い缶からマーガリンやジャム、ピーナツバターを選んで、縦に切れ目を入れたコッペにべったりと塗りつけてくれた。「もうちょっと⋯」と言えば「はい、おまけね」っと少しつける真似して緑色のブーブー紙にくるんで渡してくれた。いつから煮ているのか、三角形のこんにゃくをみそ壷に入れたおでん。七輪の鉄板で焼き、花かつおをかけて新聞紙に乗せてくれたお好み焼き。麩菓子、ポン菓子、しるこサンド、前田のクラッカー、渡辺のジュースの素、ダンゴのように串に刺したミニカステラ、透明なガラス棒に入った色とりどりの寒天ゼリー。一気に吸わず、油断してるとツルと滑って地面に落ちる。その絶望感は、この世の終わりだ。色の着いたにっき紙、小さな木箱にミニチュアのように並ぶさくらんぼ餅、毒々しいチクロ棒⋯。思い出せば、そのときの匂いや友達の顔、死んでしまった駄菓子屋のおばちゃんも生き生きと甦る。不衛生だからやめなさいと、親に止められた禁断の味。大人になっても、好きな食べ物には思い出がつきまとう。食材の思い出には、同時代を共に生きた物語が詰まっている。(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

9月のテレビマンユニオン担当回は・・・

<もやし>
 『萌やし』
 この表記見慣れませんが、もちろん野菜の「もやし」の事です。
 漢字で見ると、途端にアニメやメイド喫茶、アキバ系文化が生んだ言葉「萌え~」が浮かぶのは、 私だけでしょうか?
 そもそも「萌やし」とは、豆に水を加え暗いところで発芽させたもの。
 ”芽が出る”=「萌える」という意味から名づけられました。
 一週間の作業で出荷できるもやしは、一袋30円が常識!安くて、美味しくて、栄養満点です。今 回は、もやしを愛する人4人が登場します。燃やしに走らない魅力がいっぱいです。
 (室谷有美)

<中華めん>
 黄金色に輝く中華めん。その一杯が元気をくれました。
 地元で愛される郷土料理。師匠から弟子に受け継がれる宝物。大切に守られている味があります。
 一方、イタリアンと中華めんが出会ってイタ麺?!北海道から九州まで全国のラーメンが家で食べ
 られる?!進化する中華めんもあります。
 どんぶり一杯にこめられた魂。世代を超えて愛され続けられる中華麺の魅力に迫ります。
 (二階堂茜)

放送予定

   OA日       テーマ     担 当

#390 9月 3日  : トマト     ※Vivia 
#388 9月10日  : もやし     D椎葉百合子
#390 9月17日  : 中華めん    D今関裕子
#389 9月24日  : ひき肉     ※Vivia



プロデューサー

土橋正道

制作プロデューサー

那須恭子

ディレクター

椎葉百合子
井口奈美
三田香織
今関裕子
岡瑠璃子
ほか

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室谷有美
二階堂茜