食彩の王国 2016年3月

食彩の王国 2016年3月

 「収穫が一番楽しい」とは、ある農家の言葉。その収穫を迎えるまでにどれほど地道で誠実な仕事を重ねてきたのかと思うと、その最良の時期に快く立ち合わせてくれる生産者の方たちにはただただ頭が下がる思いです。
 数ある取材の中でも忘れられないのが、荒れる日本海の松葉ガニ漁。
荒れ狂う波に負けじと網を引き上げる漁師達の奮闘を収めようとしたその時、
私は船酔いで甲板に昏倒して潰れていました。荒れる海を進む船中では、横になっていても大波に揺られて身体が宙を舞います。せめて漁師さんの邪魔にならないよう、ポールに必死にしがみ付きながら横目で水揚げされるカニを眺めていたのでした・・・「板子一枚下は地獄」。冷たく荒れる海から、美味しいカニを届けてくれる姿に感動します。
生産者の方の収穫作業をわが身に置き換えてみるならば、さしずめ仕上げの編集作業でしょうか。その編集について、事情も知らない第三者にあれこれ質問攻めにあった挙句、四六時中密着されると妄想してみると・・・
「今回の撮れ高はどうですか?」「そこにイン点アウト点を打つ意味とは?」・・・
『もう、帰ってもらえませんか・・・』と思わず悲鳴をあげたくなるでしょう。
それを考えただけでも、ますます励まずにはいられません。
(前夷里枝)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日     テーマ  担当D
#619 3月 5日 : たまご  前夷里枝
#620 3月12日 : ニシン  ※VIVIA 
#621 3月19日 : ヒラメ  徳丸あす香   
#622 3月26日 : ひじき  ※VIVIA

3月のテレビマンユニオン 担当回は・・・ 

≪たまご≫『京の雅!“美味しおす”舞妓さんも愛した たまご物語』     
今回は、京都の暮らしに息づく、たまごの食文化をテーマに取材を行いました。煌びやかな仕出し弁当の出し巻きたまごは、お出汁たっぷりで食べ応えもあり、おいしかったです。また、テレビマンユニオン御用達の蕎麦屋「権兵衛」の親子丼に、あの「祇園 さゝ木」の佐々木浩さんが作る、華麗なたまごの京料理まで、京都の食の奥深さを思い知らされたロケでした。でも、一番恋しくなったのは、舞妓さんが通う喫茶店「進々堂」の「玉子サンド」です。シンプルな厚焼き玉子をトーストに挟んだだけの素朴なサンドイッチですが、編集中も禁断症状のように脳裏にちらついて・・・皆さんも祇園へ行ったときは、ランチにいかがですか?優しいお父さん、お母さんとの会話にも癒されます。
(細村舞衣)


≪ヒラメ≫
片側に目の寄った、ひょうきんな表情。おとなしく海の中をゆらゆら漂っていそうなヒラメ。でも彼らの性格を知ると、素直に竜宮城で“鯛やヒラメの舞い踊り”に興じるとは思えなくなってきます。実はヒラメは獰猛な魚。砂に身を隠して獲物を待ち伏せ、小魚が通ると想像もつかないスピードで飛びかかる、恐るべきハンターなのです。栄養を蓄えた肉厚のヒラメは10キロもの重さに成長することもあり、長崎県の平戸では“座布団ヒラメ”と呼ばれ愛されています。「私みたいに大きくて質量があるのよ」と笑うのは、平戸で民宿を営む栗山千穂子さん。旬のヒラメを余すことなく味わい尽くす料理を見せてくれます。南の龍宮城・平戸のヒラメ物語。ご覧下さい。
(鴨下 満)

プロデューサー

土橋正道

ディレクター

前夷里枝
徳丸あす香 
細村舞衣
植田裕久
阿部賢実 
田中由美
橋本倫
三田香織
岸元美江
永田暁児

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

細村舞衣
鴨下満