食彩の王国 2016年4月

食彩の王国 2016年4月

 「収穫が一番楽しい」とは、ある農家の言葉。その収穫を迎えるまでにどれほど地道で誠実な仕事を重ねてきたのかと思うと、その最良の時期に快く立ち合わせてくれる生産者の方たちにはただただ頭が下がる思いです。
 数ある取材の中でも忘れられないのが、荒れる日本海の松葉ガニ漁。
荒れ狂う波に負けじと網を引き上げる漁師達の奮闘を収めようとしたその時、
私は船酔いで甲板に昏倒して潰れていました。荒れる海を進む船中では、横になっていても大波に揺られて身体が宙を舞います。せめて漁師さんの邪魔にならないよう、ポールに必死にしがみ付きながら横目で水揚げされるカニを眺めていたのでした・・・「板子一枚下は地獄」。冷たく荒れる海から、美味しいカニを届けてくれる姿に感動します。
生産者の方の収穫作業をわが身に置き換えてみるならば、さしずめ仕上げの編集作業でしょうか。その編集について、事情も知らない第三者にあれこれ質問攻めにあった挙句、四六時中密着されると妄想してみると・・・
「今回の撮れ高はどうですか?」「そこにイン点アウト点を打つ意味とは?」・・・
『もう、帰ってもらえませんか・・・』と思わず悲鳴をあげたくなるでしょう。
それを考えただけでも、ますます励まずにはいられません。
(前夷里枝)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日     テーマ     担当D
#623 4月 2日 : 桜鯛      細村舞依
#624 4月 9日 : ケチャップ   ※VIVIA
   4月16日 :(地震放送によりオンエア休止)
#625 4月23日 : ハタハタ    村田吉廣
#626 4月30日 : 飛騨高山の食材 前夷里枝 

4月のテレビマンユニオン担当回は・・・ 

《鯛》 『幸せを運ぶ紀州の宝 桜鯛ものがたり』
卒業式に入学式、結婚の祝いなど慶事には欠かせない「鯛」。
桜の咲くこの時期、鯛には恋の季節が到来し、パートナーを射止めるためほんのり桜色の斑点模様が現れます。その姿からついた名前が「桜鯛」。
刺身にすると上品な身の旨み、皮に焼き目をつけるとジュワッと白身の中から脂がでて これがまた美味い!お酒がすすんで顔が赤く染まるまで飲み続けてしまいそう。でも、今はシラフ。なんの酔狂か時間がない中この回を引き受け、目を真っ赤にしながら編集するのは、食彩Dデビューの細村です。終わったら鯛で祝い酒しなきゃね!
(徳丸あす香)

《ハタハタ》『郷愁を誘うお母さんの味 旬の越前 ハタハタ物語』
ハタハタという魚を初めて食べました。
古い街並みが残る美しい港町、福井県・三国町。三国港と言えば、越前ガニに甘エビ。ハタハタは、そのついでに獲れる魚に過ぎません。しかし、です。漁師さんのお宅で食べたハタハタ焼きには驚きました。
甘いのです。下味をつけてないのに、バター焼きかと間違えるほどこってりとした脂。
猫と暮らす民宿のおばあちゃんの味は、身がとろけるハタハタの煮物。なんだか実家に帰りたくなるような、懐かしさを誘う料理の数々。ほかほかのご飯を片手にご覧ください。                
(鴨下満)

《飛騨の食材》
古都、飛騨高山。小京都と例えられるほど、この地も山に囲まれ、その上、豪雪地帯なので冬は雪に閉ざされます。そのため、厳しい環境で暮らす独自の食文化が築かれてきました。               
日本食の知恵「漬け物」もここでは「ステーキ」に。さらに、「豆腐」も工夫して、祝いの席に並ぶごちそうに大変身します。そして、雪が溶けた今、山で出会えるのは新芽が美しい「山菜」。
奥飛騨の食材に秘められた物語を紐解き春を迎える喜びに出会います。
(徳丸あす香)

プロデューサー

土橋正道

ディレクター

前夷里枝
細村舞衣
村田吉廣 
植田裕久
橋本倫
永田暁児
岸元美江 
阿部賢実 
田中由美
三田香織

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

徳丸あす香
鴨下満