小澤征爾さんと音楽で語った日 ~チェリスト・宮田大・25歳~

小澤征爾さんと音楽で語った日 ~チェリスト・宮田大・25歳~

再放送決定
2012年5月6日(日)21:00~22:54
2012年11月24日(土)19:00~20:54

 小澤さんがこの数年来、期待をこめて見守るチェリスト・宮田大。
高校生で小澤さんと共演した時、音楽に向き合うその姿を見て、初めてプロになる気持ちを固めた。
「ロストロポーヴィチ国際チェロコンクール」で日本人初の優勝以来、世界を舞台にブレークした25才。
4年にわたるその精進の記録を積み重ねつつ、2012年1月、プロへの原点となった小澤さんとの再共演のステージへと集約するドキュメンタリー。

 テレビ取材の現場には、当然ながら常に様々な困難がある。苛酷な風土、込み入った人間関係⋯。そしてそれらとは少し異質だが、クラシック音楽の現場にも独特のオキテや禁じ手がある。それは信頼とか配慮といったものを超えた、演奏家たちの本能とか体質のような領域だ。
 特にプロの演奏家集団であるオーケストラの場合、カメラの前に立ちふさがるカベは高い。良い環境で最高のパフォーマンスを、と願う気持ちは同じでも、それを映像化する時に否応なく生じるキシミ⋯これは高度なオーケストラ奏者たちとテレビ撮影の間に常に宿命のように存在してきた。
 この1月、水戸で始まった小澤さんと水戸室内管弦楽団の10日間の練習、本番は、撮影チームにとってはかなりハードな現場だった。ステージ上で、奏者たちの集中力の波と撮影チームの動きの位相がずれた時の違和感はいうまでもなく、それ以前にカメラ機材や硬く長いブームの存在そのものへの恐怖心が大きなストレスになる。楽屋裏で高価な楽器を手に集中力を高めて出番を待つ奏者たちにとっては、狭い空間で「硬い大きなもの」が存在し、動くこと自体が怖いのだ。
 その一方でこの期間、極度に疲労の増していく小澤さんへの気遣いも切迫していった。若い宮田大くんに対してカメラの前でムリをおして話しこんでくれる小澤さん、その姿がまた周囲の不安を増幅する日々。
 そんな状況の中で宮田大くんだけは常に笑顔で自然体だった。そして10日目、最後の本番が全員の笑顔で終わった今、あらためて楽団員、舞台スタッフの皆さんの限界ギリギリの忍耐とご協力に深く感謝いたします。
(大原れいこ)

出演

宮田 大

特別出演

小澤征爾

ナレーション

斉藤由貴

プロデューサー・企画

大原れいこ

ディレクター

浅野直広

カメラ

後藤 修
二宮貴司
田中泰圭

アシスタントディレクター

桜井律