サッカー選手になることだけを夢見て生きている子どもたちがいます。暴力や麻薬を毎日のように目の当たりにし、学校にも行けず、食べ物もなく、彼らはそれでも裸足で、砂埃の中ボールを追い続けているのです。いま、カタールという豊かで小さな国が、そんな世界中の子どもを集め、サッカー選手として育てる取り組みを行っています。オーディションを受ける貧困層の子どもたちは世界10万人以上。たった一握りの子どもたちだけが、カタールでの学校教育とサッカーで強くなることが約束されるのです。しかし選ばれてもなお、大人になるまでには選手として何度もふるいにかけられる日々が待っています。これは慈善活動なのか、それともカタールの新たな戦略なのか。そこに小さな希望があることを願いながら、その渦に巻き込まれていく子どもたちを取材します。
（池田一葵）