中田英寿 日本の旅

  助手席に座る僕と、運転している欣也さんは
女性から来るメールの本文に添えられた絵文字についての討論を繰り広げていた。
「牧、メールにある●マークについてどう思う?」「いや、どう思うも何も・・・。」
「好きでもない人に●マークはつけないだろ? しかも動いてるんだよ。」
「いやいや、欣也さん。大人になるとね、営業●ってのもありますよ。あと、最近のは結構動きます。」
「牧、ロマンのない事を言うなよ。●だよ●。」
「●より大事なのは、本文ですよ。でもって、●マークより?マークですよ。なんなら重要なのは!
返信を求めてるわけですから。」
「確かに・・・、?マークねーな。じゃあ、何なのこの●は!?」
「ほら。もはや、メールでよく使う『お世話になっております』と同じレベルの●ですよ、それ・・・。」
 後部座席から、「ぶふふ。」と吹き出した笑い声が聞こえる。
「お前らの会話、まったく意味を持たないな!」
 旅のリーダーの一言は厳しい。
 そんな感じで、相変わらず旅は続いています。
[●=ハートマーク]
(牧 有太)

渡辺誠

牧有太
大島明