食彩の王国 2015年2月

食彩の王国 2015年2月

 最近、おもしろい食べ物を知った。新潟県見附市のメダカの佃煮だ。メダカと聞いて、一瞬耳を疑った。なにか、別の川魚の地方名ではないか。興味をひかれたので、食べに行ってきた。これがメダカだという瓶詰めには、「うるめの田舎煮」と書いてある。ほら、うるめじゃないかと思ったら、メダカを食料として扱うときはうるめと呼ぶそうだ。手に取ってみると醤油でしっかり煮てあるので、全体は鼈甲色で腹の辺りが白く見える。目をこらすと本当にメダカだ。食べてみると、ほろ苦くて甘味も感じる。日本酒の肴にぴったり。舌には苦い後味が残って酒がすすむ。かつて新潟では、田の害虫ウンカを食べてくれるので大切にされてきたそうだ。そのウンカが苦味の素。秋も深まり、ほろ苦さが丁度よくなったころ大量に取って佃煮にして、冬の保存食にしてきたという。黒メダカが田にいなくなった今、観賞用の緋メダカを養殖して作っているのだとか。美智子皇后が来られた時、弁当のおかずの一つとして出されたメダカを見て、「これは絶滅危惧種ではありませんか?」と聞かれたそうだ。田の事情は変わっても、食文化は残る。「日本人は何をたべてきたのか」を探る旅はまだまだ続く。
(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    OA日     テーマ    担 当

#564 2月 7日 : 酒粕     ※VIVIA
#565 2月14日 : 松葉ガニ   前夷里枝
#566 2月21日 : 湯葉     ※VIVIA
#567 2月28日 : 稲庭うどん  植田裕久 

1月のテレビマンユニオン担当回は・・・ 

《松葉ガニ》 「日本海の“紅”づくし 松葉ガニに舌つづみ」

越前ガニ、松葉ガニ、加納ガニ、間人(たいざ)ガニ。
全部違う蟹かと思ったら実はこれ、すべて同じズワイガニの別名で、日本各地で様々な呼び名で食べられてきました。
甘味が強くプリップリの食感が魅力、日本の冬を代表するカニの王様、兵庫の「松葉ガニ」が今回のテーマです。
兵庫県は松葉ガニの漁獲量日本一。しかも県内には4つのブランドが乱立する、まさに松葉ガニ激戦区。そこで後から参入したにもかかわらず日本有数の松葉ガニの産地になった港があります。そこには漁師たちの長年の夢、活きたまま水揚げすることに挑んだ漁師たちの物語が。お楽しみに!
(徳丸 あす香)


《稲庭うどん》「秋田発 世界へ!あったかシコシコ 殿様が愛した稲庭うどん」

もし「うどん番付」なるものがあるとすれば、西の横綱は讃岐うどん、東の横綱は秋田の稲庭うどんでしょう。
350年の歴史を持ち、今では日本中にその名が轟く稲庭うどんですが、
わずか40年ほど前まで、作っていたのはたったの2軒だったっていうから驚きです。
麺作りの技は、江戸時代から昭和40年代まで「一子相伝」「門外不出」としてひっそりと受け継がれてきたんです。
まさに「食の北斗神拳」!
そして、それがどうやって日本中で愛される“横綱”にまでなったのか?
そこには、「秘伝公開」へ踏み切った、一人の継承者の決断があったのです。
胸が熱くなる稲庭うどん物語、どうぞお楽しみに。 
(鈴木 秀樹) 

プロデューサー

土橋正道

ディレクター

吉田夕日
田中由美
徳丸あす香
阿部賢実
植田裕久
下高呂佳子
三田香織
前夷里枝

リサーチ

北口由子

アシスタントディレクター

二階堂茜
鈴木秀樹