＜テレビマンユニオン担当回＞
＃４７「宮城県大曲浜 獅子舞がつないだ明日」
３月３日（土）放送
D：河原剛

＃４８「淡路島移住を決めた３０歳」
３月１０日（土）放送
D：佐藤宗明

＃５１「長田弘　詩人の食卓」
３月３１日（土）放送
D：小林陽子

秋晴れの土曜日。横浜の赤レンガ倉庫に100メートルのロングテーブルが3列並んだ。1000人で一緒にごはんを食べよう！という壮大なイベント。その模様を番組で伝えた。
　晴れ渡った空の下、1000人食卓は大成功に終わったが、3日前まで天気予報はずっと雨だった。1000人分のチケットはすでに配られ、放送日も動かない。もし雨だったらと想像するだけでゾッとする。
　晴天を願いながら思い出したエピソードがある。僕が「世界ウルルン滞在記」のADをしていた時、シチリアでカジキマグロを釣るという回があった。フェルーカ船という変わった形の船の先端から銛で突く漁のやり方だが、なかなか釣れる瞬間には立ち会えないと聞いていた。ロケ直前の全体会議のあと、僕は白井プロデューサーに呼ばれた。
「お前、念力のかけ方を知ってるか？」
「いえ、知りません。」
「だいたい、あの蛍光灯くらいの距離をじっと見つめるんだ。必ず練習しておけ！」
2週間後、出演者の江口洋介さんの目の前で、見事カジキマグロは釣り上げられた。
11月12日（土）の横浜が晴天になる保障はどこにもなかった。
　でも晴れた。前夜までの雨が嘘のように青い空が輝いていた。見ず知らずの人と食卓を囲む1000人の笑顔も輝いていた。
　確かに、テレビには念力が必要だ。 （関根聖一郎）