アナザーストーリーズ 運命の分岐点「吉田沙保里が負けた日~最強伝説の真実~」

アナザーストーリーズ 運命の分岐点「吉田沙保里が負けた日」

あなたは吉田沙保里さんが負けた時何を思いましたか?

日本にアスリートはあまたあれど、この人以上に「勝って当たり前」とされてきた人はいないだろう、吉田沙保里さん。
個人戦実に206連勝、15年間無敗という前人未到の記録。「勝って当たり前」と言うに相応しい存在なのだけれど、その反面、勝利が当たり前すぎて206の勝ち、1つ1つをつぶさに見つめ続けてきた人はそういないのではないだろうか。
もしかするとオリンピックの試合ですら「勝って当たり前」とみんな考えて、ニュースのハイライトしか見ていない人が多いのではないか。

そして、だからこそ、2016年のリオデジャネイロ五輪、決勝で15年ぶりに吉田さんが「負けた」時も、多くの人は「負けた」という結果だけを受け止めたように思う。
決勝で負けた、ということは決勝まで勝ち続けたということなのに、その過程を知らず、結果だけで判断する。
実はぼく自身も、あの時、仕事の合間で片手間に中継を見つめていた。
「どうせ勝つだろう」と思って。
多くのメディアは負けた後ですら、吉田さんが負けた後の泣いた姿には好奇の目を向けても、彼女がどれだけの思いで戦いに望んでいたかには目を向けなかった。
「負け」の重みを知らないからこそ、無責任に「次は東京に出てくれますよね?」という質問を繰り返し、本人がいかに逡巡しようが、2019年のはじめに引退会見をするまで、強い言い切りの言葉を迫り続けた。

オリンピックで勝つことは、そんなに簡単に「次もやってくれますね」と言えるものではない。

この番組で、2019年の最初に羽生結弦さんのオリンピック連覇を取り上げた。
この回と表裏一体にあるのが今回のアナザーストーリーズだと思う。
"オリンピックの金メダルを争う"という究極の一線をめぐる、「心」の物語として。
今年2020年、この国では多くのそうした物語が繰り広げられる。
その時、実況や解説がどう「本命だ」「鉄板だ」と煽ろうと、金メダルを目指す選手の「心」はもっと揺らぎと、熱に満ちたものだ。
周りが勝手に言う「勝って当たり前」など無く、しかし逆に「勝ちたい」という熱は周りの想像など遥かに絶して熱い。

今回、吉田沙保里さんご本人に話を聞くことができ、いかに1つの「負け」が大きく心に刻まれていたか。
「連勝」ではなく1戦1戦ごとにリセットしていたか。それをお話頂いた。
吉田さんが出場した4つのオリンピック、それぞれに望んだ心持ちがどれだけ違ったか。
あのリオ五輪の試合前に至った意外な心境。それもお話頂いた。
すべては「心」の話だ。

13歳の時アテネ五輪に出場した吉田沙保里さんの姿に憧れたヘレン・マルーリスさん。
彼女はその「憧れ」の夢を、「あの人と闘いたい」という願いへと変え、さらに「最高の舞台で勝ちたい」という闘争心へと変え、ついに最高の舞台でそれを叶えた。
これもまた「心」の話だ。

アテネ、北京、ロンドンの3大会で吉田さんと対戦、すべて敗れた“”ルバーコレクター”のトーニャ・バービークさん。
「嫌にならないか?」という自国メディアの問いへの答えはまさに“一線”を争うアスリートの精神を物語るもの。
そして「サオリが負けるならあの大会だと思っていた」という予言も、競技の細かい分析はもちろんあった上で、やはり吉田さんの「心」を慮ったものだった。

選手の心は目には見えない。
でも想像することはできる。
ただ結果だけを見つめるのではなく、選手の心を想像しながら観戦するほうが、どれだけ豊かな経験をもたらしてくれるかは言わずもがな。

あなたは吉田沙保里さんが負けた時何を思いましたか?
もしも結果だけを見つめたなら、結果よりはるかに豊かな物語に。
もしも結果以上の何かを見つめたなら、その「何か」を解き明かす物語に。
そんなご期待に応えられるように力の限りをつくして作りました。

たった1つの負けから浮かび上がる、最高のアスリートたちの「心」の真実。
ぜひご覧ください。
(阿部修英)

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ナビゲーター

松嶋菜々子

ナレーション

濱田 岳

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阿部修英

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プロデューサー

髙城朝子

ゼネラルプロデューサー

田中直人