ザ・ノンフィクション「遠く故郷を離れて 〜この国で命を救う人になる〜」
「もう受け入れは無理ですって…」
2022年夏。終わりの見えないコロナ禍に、病院は悲鳴を上げていた。
山間部に多くの過疎地域を抱え、交通手段も限られる鹿児島県・大隅半島で、地域医療の“最後の砦”ともいわれる大隅鹿屋病院。この病院で研修を続けているのが、中国からやってきた朱海医師(36)。
幼い頃から、日本のアニメが大好きだった彼は「日本で救急医になる」という夢をかなえるため、6年前に家族を連れて来日。中国での医師のキャリアを捨て、日本の医師国家試験に挑戦。不合格が続くこと4年…決して諦めることなく猛勉強を続けた結果、日本の医師資格を手にした。
研修先に決まったのは、医師不足に悩む“陸の孤島”・大隅鹿屋病院。救急患者から終末期医療の高齢者まで、朱海医師の元には様々な患者がやってくる。言葉の壁に苦戦しながらも地域医療の最前線で奮闘する朱海医師を指導役の先輩医師たちは厳しくも温かくサポートする。
夜勤の休憩中、テレビ電話をするのは、大阪で暮らす妻と小学生の一人娘。日本語を話せない妻と中国語が話せない娘。最愛の家族が、単身赴任の朱海医師の心の支えとなっている。
2022年9月。観測史上最大級の台風が、鹿児島に上陸。暴風雨で病院は停電。そんな中、救急搬送されてきた患者が病院に到着する…
日本で命を救う人になる…そんな一人の中国人医師の奮闘を見つめた日中共同制作の第11弾。