
松尾スズキ作品の哀愁を帯びた笑いについて
歳を取るにつれて、スルースキルの達人が現れる。
周りで戦があろうが、己に言葉の刃を向けられようがスルーできる。そして、社会を生き抜くためにはそのスキルは重要に感じる。この魔法のスキルがあればどんなに荒れた地でも生きていけそうだな、と達人たちを見て私は思う。
だが、松尾スズキさんはそのスキルが皆無なのだ。
大人計画主宰で演劇界の重鎮である松尾スズキさんは、誰よりも人間らしくて繊細で傷つきやすい。だからこそ松尾作品の笑いには哀愁が漂うのではないかと私は思う。そして、そんな松尾さんと共に仕事をすると「傷つくことをやめたくないな」と思うのだ。
私は“この人には何を言っても大丈夫”と思われやすい性格と自認している。なのでかなり言われやすい。そしてすぐモヤモヤする。友達からは「無視!」とか「言い返しちゃえ」とかアドバイスを頂くが、実は自分のこととなるとちゃんと言い返すことも出来ない。でもそれでも良いのだ!
これからも胸を張って傷ついていこう!そして、いつかそんな自分を笑えたら。 (葛谷朱美)
まっとうな人ほど、狂って見えちゃうこの世界で
人間のダメさ哀しみ愚かさを、シュールかつあたたかめに包みこむ松尾スズキの作劇。その松尾さんが毎回一人の女優と繰り広げる4、5本の極上コント。ネタ出しから脚本、撮影、仕上げまで、実に味わい深い、いや味わい深すぎる番組です。これはなかなか地上波では流せないような、際どいネタもあったりするが、中でも、特にうなったコントがある。舞台は、北九州の港町。女将の松雪泰子さんの小料理屋に、高倉健風の松尾さん、田中邦衛風のコンビ、演歌歌手の女性らが居合せる。ボケにツッコミ、とぼけにすかし、少しずつ観客の予想をずらし裏切りながら、笑いの重心が次々と移ろっていく。そこにいる皆が真っ当で、皆が狂っていることがわかるような顛末に、これぞ世界の縮図だなぁ?と、しみじみ笑いが誘われます。 (大西 隼)
出演 : 松尾スズキ 生田絵梨花、松本穂香、松雪泰子 天海祐希
ゲスト出演 : オクイシュージ 伊勢志摩 近藤公園 皆川猿時 村杉蝉之介 町田水城 地蔵中毒 他
◆4週連続放送
#1 生田絵梨花の乱 3月13日(日)23:00~23:30
#2 松本穂香の乱 3月20日(日)23:00~23:30
#3 松雪泰子の乱 3月27日(日)23:00~23:30
#4 天海祐希の乱 4月 3日(日)23:00~23:30
【再放送】
#1 生田絵梨花の乱 2022年8月 3日(水)21:30~22:00
#2 松本穂香の乱 2022年8月10日(水)21:30~22:00
#3 松雪泰子の乱 2022年8月17日(水)21:30~22:00
#4 天海祐希の乱 2022年8月24日(水)21:30~22:00
◆2022年5月5日(木・祝)
#1 生田絵梨花の乱 18:00~18:30
#2 松本穂香の乱 18:30~19:00
#3 松雪泰子の乱 19:00~19:30
#4 天海祐希の乱 19:30~20:00