NHK×日テレTV70年特番 テレビとは、○○だ

ある社長に言われた。“「お前はただの現在にすぎない」って最高。しびれたね”
ある教授に言われた。“「たった1人の孤独な熱狂から始まる」これだよね!”

ある年代には深く刺さっている、テレビマンユニオンのテレビ論。
ことし放送開始70年=70歳を迎えるテレビの、17歳の時に独り立ちした創業者たちの語ったテレビ論は思春期を過ぎ大人へ向かう「光のようなまっすぐさ」と「ほの暗い野心」の両方を示していてくわわる前の僕にも深く刺さっていた。

でもいざ「中」に入ると。日々の仕事はいそがしく、面白く、入社前に刺さっていた「テレビとは」のような大命題は深く考えられぬことにすこし後ろめたい思いも持ったまま、突き進んできた。
だけど今回、70周年記念番組を作ることとなり70年間の番組映像を大量に見た時、気づいた。

―――テレビ、ずっと、「テレビとは」に答えて来たんじゃん!

素人が作った曲を投稿し、プロの歌手に歌ってもらう、という歌番組は、歌番組であればこそ、曲のレベルを厳しく追い求め、『与作』から『コンピューターおばあちゃん』まで幅広すぎる名曲を数々生んでいた。
ヘビースモーカー100人を無人島に連れて行き禁煙実験をした科学番組では、科学番組であればこそ、ひそかにタバコを持ち込んだ被験者と制作者の生々しい論戦まで克明に記録。禁煙の苦しみと解放感をリアルに伝えていた。
どれも今YouTubeに上がったら再生回数爆上がりのもの。だがこれらの番組の制作者は「再生回数」など狙っていない。
(再放送の数を至上の目的とするテレビ人などなかなかいないだろう)
テレビは時間を決めて、基本的には1回限りの「放送」をされるもの。過去の栄光には浸らない。
「繰り返し」とは違う、1回きりの勝負を常に戦ってきたのだ。まさにそれが「テレビとは?」という問いとの戦い。

今回は同じく70周年を迎える、NHKと日テレの対決。
日テレチームは、熱い。「テレビがネットに負けるなんてことはない」と強く主張する。
70年の歴史が連綿と「武勇伝」として受け継がれ、歴史がどんどん掘り出されてくる。
1回きりの勝負を継投し続けてきた人たちのプライドを感じる。
我々はNHKサイドの番組を作るのだけど、そしてNHK70年の作り手たちの気持ちを同じく感じとって作りたいと思っているのだけど、その裏ではひそかに、「お前はただの現在にすぎない」ことや、「たった1人の熱狂から始まる」ことを考え続けたいと思う。

「テレビとは、○○だ」
あなたなら何と答えますか?
阿部修英

出演
MC  有吉弘行
ゲスト 平野レミ 武田真治 岡田結実
進行  はに丸(CV田中真弓)
    青井実 岩田絵里奈 桑子真帆 藤井貴彦

総合演出

岸枢宇己

ディレクター

松本有哉
山内理実
保住大喜心

制作

熊倉健一

助っ人

髙村安以

プロデューサー

阿部修英
河瀬大作(Days)

制作統括

石田涼太郎(NHK)
坂部康二(NHKエンタープライズ)