「私にできる支援って何だろう？ってずっと考えていたときに、やっぱり唄だって思い至ったんです。どの土地にも歌い継がれてきた民謡がある。それを私が掘り起こして、習って、被災者の皆さんと一緒に歌うことで、少しでも元気づけられたらって⋯」
　打ち合わせの席で、石川さゆりさんは思いのたけを私たちに切々と語った。石川さんと中南米を旅する企画が決まったのは3月上旬だった。しかし、3月11日に起きた東日本大震災は、石川さんの気持ちを大きく変えた。
　そのとき名古屋・御園座で公演中だった。突然の大きな揺れに会場はざわめき、一時は中止を考えたという。だが、気丈にも揺れるステージで最後まで公演を終えた石川さんは、HOTELに戻って見たTVの映像に衝撃を受ける。被災地は、1ヶ月前に東北公演で回ったばかりの場所だった。
　とても海外に行く気分になれない。自分にできることは何なのか？考え続けた石川さんが思い至った支援のカタチ。
　「例え故郷が流されてしまったとしても、唄で心の故郷を取り戻すことはできるのではないか⋯」
　その一念で番組をつくります。　　　　　　　　　　　　　　　
（梛木泰西）

再放送のお知らせ
2019年3月6日（水）午前9:00～10:38 NHKBSプレミアム
2019年3月7日（木）午前0:45～ 2:23 NHKBSプレミアム