情熱大陸 経済思想家 斎藤幸平
情熱大陸 経済思想家 斎藤幸平

情熱大陸 経済思想家 斎藤幸平

「資本主義を批判する私も、お金を稼ぎ、ものをたくさん買うことで生きている」斎藤さんの魅力は、鋭い理論の裏にある、正直な人間らしさです。自分の主張と自分の生活・生き方がある種対立する場合があります。お金持ちだけが豊かさを感じる社会は変えねば、と言いながら、かつて同級生たちが暮らすマンハッタン高層の暮らしを羨ましい、と言って憚らない。日頃は寝癖も厭わないキャラクターだが、写真撮影ともなれば、新しい服を新調しパリッときめる。お腹が出てきたらジムに通ってダイエットに取り組む。
よく聞くと「資本主義の全てを否定するつもりはない。科学技術で生活が進歩するのは歓迎。私は環境負荷の大きい牛肉を食べないようにしたり、なるべく飛行機に乗らないようにするが、みなに強制するつもりはない。牛肉は食べてもいいと思うけど、一緒に声だけはあげてほしい」のだそうです。その視線は、未来を見据え、その上で自分の生活にあうスタイルを「それぞれが幸せになるために選ぶ」と言うことのようです。「今の特に日本は、経済成長を求めすぎて不幸になっている気がする。であれば、別の幸福の形を見つけるのがいいんじゃないか」
 さて今回、ヨーロッパ出張に同行して分かったことがあります。それは日本が電車移動天国であること。ヨーロッパでは、中距離の移動で(EU圏内の移動など)飛行機を敬遠する傾向がありますが、実際その電車移動は、なかなか大変なものでした。遅延は多く、特急も新幹線も、移動時間が長い。理由はトンネルというインフラ整備が整っていないからだとか。ある駅で特急に乗るとき、ホームで待っていたらいきなり「途中までバス移動です、向こうのバスへ急いで!」と言われてダッシュ。工事区間を迂回したのが理由だったのですが、みな確実なことがわからず、目的地がバラバラで、声を掛け合いながら確認してなんとかなりました。その、人間を頼りにしたところは、不便でありながら、親しみを感じる部分もあり、「日本だったら自分は文句を言っているかもな」と想像しながら、の旅。さまざま刺激的な取材でした。
(下口谷充)

【出演】斎藤幸平

演出

下口谷充

ナレーション

窪田 等

構成

浜田 悠

撮影

井上裕太
平本亜希 ほか

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宮本愛里

音効

早船麻希

プロデューサー 

沖倫太朗(MBS)
下口谷充