めざせ!オリンピアン「大成長した新星が挑む陸上日本一」

サニブラウン・ハキームの9秒97は、彼らの中の強烈な闘争心を掻き立てたかも知れない。日本陸上連盟が将来を見込み、「ダイヤモンドアスリート」という育成構想の対象に選んだ若者たち。いわゆるサニブラウン世代だ。これまで番組で取材したのは、やり投げの北口榛花と棒高跳びの江島雅紀、そして短距離の藤森那菜と犬塚渉。最初の取材から4年、彼らが大学3年、4年生となった現在、どんな成長を果たしたのかを確かめに福岡・博多の森陸上競技場に向かった。
会場は、サニブラウンと桐生祥秀の一騎打ちを楽しみにする観客と日本記録更新の瞬間を狙うメディアで溢れかえっていた。サニブラウンは我々の直接の取材対象ではなかったが、際立つスター感に引き込まれ、観客にまぎれて思わずスマホを向けた。一度ならず二度三度と。おさえがたいミーハー心を恥じていたところ、勝利者インタビュー直後のサニブラウンに近づく中年が一人。その人は臆面もなく「握手してくれ」と手を差し出していた。会場運営の係員だった。
この大会、サニブラウンのワンマンショーになるかと思われたが、同世代の新星たちもしっかりメディアに話題を提供した。中でも棒高跳びで日本一に輝いた江島。彼のコーチはこの番組がきっかけで知り合ったオリンピアンの澤野大地だ。澤野は日本記録保持者で、いまだ現役の38歳。自分の番では競技者として、江島の番ではコーチとして試合にのぞむ大変な役回りだったが、見事に2つの顔を使い分けているように見えた。試合翌日に行った澤野へのインタビューは印象的だった。自分を打ち負かし、優勝した教え子について、湧き起こる様々な感情を率直に語ってくれた。手を差し伸べるとはどういうことか、非常に考えさせられる内容だった。その最後に「こういう話は江島本人にもしているのか?」と聞くと「いや、今日はしゃべり過ぎた」と笑った。ふだん軽々しく口にできない、師としての愛情と葛藤とが滲み出ていた。感激した私はつい「握手してください」と言いそうになったが、軽率は敵と学び、すっと手を後ろに組んだ。
(岸 枢宇己)

【M C】北川悠仁(ゆず)
【ゲスト】陸上競技元五輪代表選手…末續慎吾 【語り】山上トモ

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ディレクター

畑中皓太 黒住聡丈 新藤哲也

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浦本康平

リサーチ

髙村敬一

制作プロデューサー

刀根実香子 伊藤恵

プロデューサー

岸 枢宇己