世界熱中ひとり旅 濱田岳×アメリカ~南北戦争 平和に“取りつかれた”大富豪~
2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻したその日、世界中が困惑に包まれた中、目を引いたニュースがあった。
https://www.nytimes.com/2022/02/24/arts/music/gergiev-putin-vienna-philharmonic-carnegie-hall.html
「プーチンを支持するゲルギエフはカーネギーホールで指揮しない」
公演予定だった指揮者がプーチン大統領と懇意であったこと、この侵攻に対して明確に態度を表明しなかったことから公演前日にも関わらずキャンセルしたカーネギーホール。この即断に、喝采を送る者、芸術は政治とは別だと抗議する者など様々な反応が見られたが、このホールを築いた者の志からすれば、もしかしたら即断も当然の結果かも知れない。
カーネギーホールにその名を残す「鉄鋼王」アンドリュー・カーネギー(1835-1919)。総資産は現代の金額に換算するとビル・ゲイツの倍以上になるという、究極のビリオネア。スコットランドから移民し、ピッツバーグで叩き上げで成功、南北戦争で財をなし、その後も成長著しきアメリカ海軍と密着して巨万の富を築いた彼だが、後半生、方向を180度転換する。その財産を世界平和に湯水のように注ぎ込んだのだ。はたしてその決断の裏に何があったのか?人類が最も戦争に明け暮れた時代、なぜ政治家ではなく資産家の彼が平和を企図したのか?その答えに迫ることが、もしかしたら「分断」「格差」「戦争」の広がる現代に、希望の活路を見出すヒントになるかもしれない。
そんな思いで制作した。
とはいえ答えなど出れば、人類の戦争はとうに止まっているはず。答えの出ない問いに共に向き合って頂いたのは、濱田岳さん。わずか数日で5都市を巡る超突貫大移動となったが、大統領選前夜、反戦デモもあちこちで起きる中で、濱田さんが旅して得た思いを旅の最後に伺った時、この番組の目指すものも決まった。カーネギーに「きっとそうですよね?」と最後に問いかけるようなその言葉を、その表情を、ぜひ、見て、聞いてほしい。
(阿部 修英)
出演 濱田岳
語り 柴田祐規子アナウンサー