食彩の王国 2012年4月
子供の頃、よく祖母や母の手伝いをした。褒められると、大人の役に立つことが誇らしい。そういう子供の心情をくすぐりながら、実は暮らしに役立つことを教えられたのだ。食器を洗う、拭く、並べる、大根を卸し金で擂る、山芋を擂り粉木で滑らかなとろろにする、昆布を植木鋏で細かく切る、白米と酢を混ぜて団扇で扇ぎながら寿司飯を作る、削り器で鰹節を削る、胡麻を擂る当たり鉢を両手で押さえて固定する、白玉粉を捏ねる、枝豆を茎から切り離す、さやえんどうの筋を取る、庭で山椒の若芽を摘む、茗荷を折りとる⋯。食材の性質や調理の仕方、調味料の使い方、ガスの炎の加減、おかずの取り合わせ、箸の使い方、食卓の作法、などなど。考えてみると、一緒に料理をしながら母も祖母に教えられていたのだろう。そうして母から子へ、子から孫へと家ごとの味が繋がってきたのだ。「男子厨房に入るべからず」とは言ったものの、人生とともにそんな時代は過ぎ去った。子供たちが自立した今、早く帰ったときは妻の手伝いをしている。なんだ、子供の時と同じじゃないか。さて、今度は孫に伝える番なのだろう。
(土橋正道)
語り
薬師丸ひろ子
4月のテレビマンユニオン担当回は・・・
≪バター≫
料理にコクと深みを加える「バター」が主役です。
伊豆大島で発見した幻のバター!
なぜ、幻と呼ばれるようになったのか?知られざる歴史がありました。
一度は、途絶えてしまった島のバターを復活させようと、立ち上がった人々。
島の乳牛からとれたミルクで、島で作った塩を使い、島の名産明日葉と料理する。
1箱のバターには、大島そのものが詰っています。
子供の頃、ホットケーキの上にバターをのせて食べた思い出ありませんか?
どこか懐かしく、幸せな気分にしてくれるバターの物語をお送します。
(二階堂茜)
≪油揚げ≫
庶民の味方、油揚げ。今回は、江戸っ子が愛した油揚げを紐解きます。
昭和を代表する落語家、先代の林家三平師匠が愛した油揚げがありました。
妻の海老名香葉子さんに、思い出いっぱいの懐かしい油揚げ料理を作っていただきます。
(室谷有美)
放送予定
OA日 テーマ 担 当
#420 4月 7日 : あさり ※Vivia
#421 4月 14日 : 春アスパラ ※Vivia
#422 4月 21日 : バター D井口奈美
#423 4月 28日 : 油揚げ D重乃康紀
P
土橋正道
制作P
那須恭子
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室谷有美
二階堂茜