食彩の王国 2013年8月放送分 

食彩の王国 2013年8月放送分 

最近、永六輔さんと「遠くへ行きたい」の新作の打ち合わせをした。昭和8年生まれの永さんは、今年80歳。パーキンソン病や前立腺癌と闘病中で、車椅子で移動しているが、その姿のまま番組を作りたいと意欲的だ。今できる表現や、今しかできない表現に前向きなところが素晴らしい。永さんは打ち合わせの最後に、
「つちはしさん、おもしろくて楽しくて、ちょっと教養があって、気品のあるものにしましょう」と言った。
 テレビマンユニオンの番組作りのコンセプトは、たった一つ、「おもしろくてためになる!」ということだ。「食彩の王国」も、実はその精神で貫かれてきた。そして、食材をめぐる歴史的なドラマや、食材から見える家族の愛情、人生のあやが隠し味になっている。言わば「日本人は何を食べてきたか」を読み解くということなのだが、おもしろく見続けて、いいものを見たなという読後感が残るように努力している。さあ、そこでだ。永さんに突き付けられた「気品のあるものにしましょう」という一言。気品とは、いつのまにか身に付くものだというところが悩ましい。10年目からこの先に向けての課題ができた。
 (土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

8月のテレビマンユニオン 担当回は・・・

≪太刀魚≫
美しく銀色に輝き、真っ直ぐに細長く伸びた「太刀魚」。体は太刀のように細長く、体表は銀白食に輝く事から刀剣に見立てられ「太刀魚」と名づけられたと言われています。夏が旬の太刀魚は脂肪分も多く、あっさりと淡白なのに脂が乗っていて旨味が深い魚なんです。
中国では、大衆魚の太刀魚。天ぷらに、煮物に、楽しみ方がたくさん!太刀魚の蒸し物は、お袋の味の1つです。西日本の食卓によく並ぶ太刀魚。そんな中・・・太刀魚専門店を発見!「うな重」ならぬ「たち重」!?太刀魚で勝負に出た店主には、ある思いがありました。和歌山県有田市で最も多く獲れるが太刀魚です。とれたての太刀魚の刺身は、コリコリした歯ごたえでさっぱり食べられます。
夏が旬の太刀魚。夏バテ気味でもが不思議と食欲が湧いてきます。涼しげなのに、エネルギー豊富な太刀魚の魅力に迫ります。
初めて、太刀魚を食べました!とっても美味しかったです。がぶりと噛り付いたのですが、骨が多くて食べるのに悪戦苦闘でした・・・
(二階堂 茜)

≪なす≫
 玉子くらいの大きさのなすをもらいました。炒め物にしようと包丁をいれると、皮がとっても硬くて一苦労。最初に皮をむいておけばよかったのかもとちょっと後悔。でも食べてみると思ったよりも硬くない。皮の部分がキュッキュッと音がして食べ応えがあり、中身はトロッとやわらかい。そしてとにかく甘い。
 このなす、寺島なすという名前で、江戸東京野菜のひとつです。かつて東向島のあたりで作られていたそうですが、一度は失われました。最近になってこの地域の小学校が創立130周年として復活させ、今では町ぐるみで普及させようとしています。食べやすく品種改良されたものではないため、皮は硬めですが食べ慣れたなすよりも、ギュッとなすの味が詰まっているように感じます。祖父母とご飯を食べると「今の野菜は昔と全然ちがう」といつも聞かされてきましたが、わかったような気がしました。失われた味、復活の物語をお楽しみください!
(徳丸あす香)

放送予定

OA日           テーマ        担 当

#488  8月 3日  : カレー      ※VIVIA
#489  8月10日  : 太刀魚       吉田夕日        
#490  8月17日  : 豚肉       ※VIVIA  
#491  8月24日  : なす        田中由美
#492  8月31日  : オコゼ      ※VIVIA  

土橋正道

三田香織  
吉田夕日
田中由美
植田裕久
下高呂佳子

リサーチ

北口由子

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二階堂茜
徳丸あす香