食彩の王国 2019年3月の放送

食彩の王国 2019年3月の放送

中村草田男の句、「降る雪や明治は遠くなりにけり」は、昭和6年の作だ。昭和、平成、新元号と、三つの時代にわたってテレビ番組を作り続けられる幸せがありがたい。人は生きて、死んで、人々の記憶から忘れ去られて「無」になる。それが繰り返されてきたのだから、悠久の時の流れは恐ろしい。さて、新元号の子供たちが大人になる頃はどんな正月風景になって行くのだろう。我々が当たり前に受け入れてきた仕来りは淘汰され、新しい過ごし方が生まれていくのはむしろ健全だと言えるが…。年賀状さえ、祝意を伝える古風な通信手段として博物館に展示されたりするのだろうね。平成という呼称になかなか馴染めなかったように、新元号ではさらに気持ちが遠のくだろう。この仕事を始めた頃は、「テレビは若者の文化だ」と言う評論が多かったが、なに、作り手として45年も続けてみると、決してそうではないことが分かる。視聴者は、ただ楽しめるバラエティのほかに、ためになるものや心温まるものも見たいのだ。今、若者はテレビ文化から離れかつてテレビに夢見た人たちが孤独の相棒にしているだけだ。
「食彩の王国」は、放送16年目に入った。「人が生きる」意味は、「人の役に立つこと」だとすれば、それを生き甲斐にしよう。
(土橋正道)

語り

薬師丸ひろ子

放送予定

    O.A.  テーマ   担当ディレクター 
#769 3月 2日  海苔     鴨下 満
#770 3月 9日  サバ     ※VIVIA
#771 3月16日  ほうれんそう ※VIVIA
#772 3月23日  チーズ    河野あや子
#773 3月30日  春のおにぎり 橋本 倫 

3 月のテレビマンユニオン担当回は・・・

#769 海苔
江戸時代きっての歓楽街として知られた浅草。その名前を冠したノリがあるらしい。それが“浅草海苔”。紙すきの技術を使って作られていたその海苔は、シンプルながらも旨みが強く、多くの江戸っ子を魅了していた。しかし、その浅草海苔、高度経済成長の間で生産されなくなり今では幻の海苔になっている。そこで鹿児島のある一人の男が立ち上がった。“あの海苔をもう一度食べたい”。妻と二人、23年間。時には周囲に笑われながらも幻の海苔を復活させたのだ。
古典落語のような、愛情溢れる夫婦が生み出す絆の物語、必見です!
(島越 翔平)

#772 チーズ
とろーり濃厚で深い味わいのチーズ。今、様々な食べ方で人気が再燃しています。チーズフォンデュやラクレットから、星付きフレンチ店のシェフが仕立てるチーズを使ったデザートまで…。さらに兵庫県・神戸で居留外国に向けていち早く牛乳を供給するために開いた弓削(ゆげ)牧場の二代目・忠生さんは、チーズ作りも始めました。それが、ヨーロッパのものと遜色がないと大人気に。三代目・太郎さんは、父に負けないと新しい種類のチーズ作りに挑戦しています。それを料理で支える妹・麻子さんと二人で、人々に喜んでもらえるチーズの味わいを開発します。果たして、父を乗り越えることができるでしょうか…!?     
(中村 朱里)

#773 春のおにぎり
言わずと知れた日本のソウルフード、おにぎり。家族や恋人に向けて握る手には、美味しく味わって欲しいという心が込められている。大塚駅で長年に渡っておにぎり屋を切り盛りする右近さんの両手にはどんな想いが詰まっているのだろう?最愛の亡き夫への愛情、そして自分を支えてくれた友人や変わらぬ笑顔を届けてくれる常連客への感謝、あげればきりがない。握る人の人生が見えるおにぎり。その物語に迫ります!
(島越 翔平)

プロデューサー

土橋正道

アシスタントプロデューサー

平田早季

ディレクター

鴨下満
河野あや子
橋本倫
植田裕久
伊藤浩子
島越翔平
田中由美
橋村知曉
徳丸あす香
土井晴美

アドバイサー

吉田夕日

アシスタントディレクター

島越翔平
中村朱里