テレビマンユニオンには人事がない。
ある日「遠くへ行きたい」チーフプロデューサー土橋から、生尾くん、君にプロデューサーをお願いしたいのだけれど引き受けてもらえないか、と突然頼まれた。「遠くへ行きたい」は50周年を迎えた我が社の基幹番組だ。なんてこった。これまで20数年、人事がないことをいいことに、好なようにやってきた私はこの日、人事がないことの怖さを存分に知る。
それまでの土橋は、いつも私のことを気にかけてくれる飲み友で、仕事など一つもしたことがない。にもかかわらず戸惑う私に、君ならできる、と言い放った。
そりゃ、世界を旅する番組10数年、ドキュメンタリーや情報バラエティと数々やってきましたさ、、
こんな歴史ある番組への私の一旅目は、ちょっぴり濃い目の味わいでした。
（生尾典之）