アナザーストーリーズ 運命の分岐点「おかえり、ゲルニカ」
再放送
8月17日(水)0:01~(16日深夜)
2021年11月、59分版の放送時に下記の文章は書いた。
まさかそのあとここまで世界が"戦時"となるとは思えなかった。
でもその一方で、もうクリミアやドンバスの事態は起きていた訳で、不明を恥じると共に、ピカソの言葉を噛み締める。
ピカソは言った。
"戦争はいつも起きているものだ 私が描いた絵の中に"
いつも、起きている。
44分、短縮しても、意味はより今伝わるはずの回です。
是非、ご覧ください。
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ゲルニカで思い出すのは中学の美術の時間。
4月、教科書を配った先生が言った。
「酷い物を渡して済まない」
え?生徒を前にまくし立てる先生。
「表紙の絵はゲルニカだ。でも一番大事な、子を抱え嘆く母の姿が折れ曲がっている。こんな教科書は許せない。ゲルニカに謝れ」と。
ゲルニカは、かくも人の心を動かす絵だ。
1937年、スペイン共和国の打倒を狙うフランコがナチスと結託し起こしたゲルニカ市の無差別爆撃。
被害の報を聞いたピカソが、共和国政府のために、ひいてはスペインの市民のために一気呵成に描いた巨大な絵は、同年のパリ万博で展示された。
しかしその後、絵は流転の運命を辿る。
スペインで初めて展示されたのは1981年。
それまでの44年、ゲルニカを取り戻すために戦った人々の思いを今回の番組では追う。
さてその取材相手の中に、ゲルニカに何と「落書き」した人が登場する。
あの先生は何というだろう。
「ゲルニカに謝れ」と言うだろうか?
いやきっと違う。この落書きした人もまた、当時のゲルニカの扱われ方に憤り、「ゲルニカに謝れ」という思いで落書きしたのだから。
ゲルニカは、今も見る人を緊張させる。
その理由を解き明かしたいと思う。
(阿部修英)
NHK WORLD-JAPANでの放送(英語版)
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