Zero Waste Life 2022年6月

Zero Waste Life 2022年6月

日本には昔からあらゆるモノには大切な「命」があり、「その命を最後まで生かし尽くす」という叡智が息づいてきた。地球の未来を思いやり、様々な命を慈しみながら暮らしたり活動する人々の魅力を世界へと伝える15分番組。

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数年前の夏に娘と京都へ出かけた際に、面白い絵巻に遭遇した。東山・高台寺所蔵の百鬼夜行絵巻。鬼たちに混じって、お釜や傘・ほうきなどの暮らしの道具が、ユーモラスな妖怪に姿を変えて徘徊している。道具、建物なども年月を経ると精霊が宿り、妖怪、お化けとなって真夜中に独りでに動き出すというのだ。身の回りの品々を大切に扱うと、その妖怪は良い行いをするが、粗雑に扱ったり寿命まで使い尽くさないと、仕返しにやって来るという。何事もそれぞれに宿った命を大切にするように!という戒め。コミカルに「モッタイナイ」精神の神髄を伝える先人の思いに触れられた、愉快な一時だった。
(三田 豊)

今月の放送

6月3日(金)前10:45~11:00ほか 
#9 Floral Incarnation 花の一生を見届ける(再放送)  
我々の生活に潤いを与え、冠婚葬祭に欠かせない花。だが、摘まれた花は悲しいさだめにある。ごく短い間だけ空間を彩るものの、すぐに廃棄されてしまう。河島春佳さんは、花の命を最大限活用することに情熱を傾けてきた。廃棄される花を買い取り、ドライフラワーにすることで新しい役目を与える。人間の都合で花を摘む以上、使い捨てにせず、朽ちるまで愛でるべき。それが河島さんのポリシーだ。

6月10日(金)前10:45~11:00ほか
♯25 Folk House 2: The Gift of Spring 島根再生古民家 春来りなば 夢遠からじ  
島根の松場登美さんが200年以上前の武家屋敷を生まれ変わらせた古民家宿。宿泊客に春の訪れを感じてもらうため、松場さんは筍を振る舞ったり、花を廃品の乳母車に生けたりなど、様々な趣向を凝らす。楽しみながらモノを大切にすること──それが松場さんの考える、本当の豊かな暮らしだ。

6月17日(金)前10:45~11:00ほか 
♯26 Retro Panes to the Future レトロガラスを次世代へ
20世紀の日本で流行した、「菊」や「桜」など様々な模様が刻まれた型板ガラス。神戸の古舘嘉一さんは、棄てられることの多くなってしまった型板ガラスを、元々の模様をいかしたお皿に生まれ変わらせている。忘れ去られようとしていた魅力が、古舘さんの手によって次世代へと広がっていく。

6月24日(金)前10:45~11:00ほか 
#10 Green Mountain Grandma 八ヶ岳エコばあちゃん (再放送)
日本の中央部に位置する八ヶ岳。なかはらけい子さんは、その山麓にひっそりと構えた一軒家で暮らしている。周辺に生えている草花を使って布を染め、ミツバチが分泌する蝋から食品を包むためのラップを作る。衣服は全て、使い古した布切れを再利用して作る。自然を愛し、モノを慈しむことで人生を謳歌するなかはらさん。彼女の周りでは、たくさんの命が巡っている。


※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。

ディレクター

小林陽子(#9)
浅野直広(#25)
首藤凜 (#26)
渡辺裕太(#10)

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潘志揚

プロデューサー

琢磨修一