Zero Waste Life

Zero Waste Life

日本には昔からあらゆるものには大切な「命」があり、その「命を最後まで生かしきる」という思想が連綿と息づいてきた。それはモノの命を慈しむ、まさに「捨てない暮らし」そのもの。モノの命を慈しみながら暮らしを楽しむ人々の素晴らしさを世界に向けて伝える15分番組。
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脚本家・倉本聰の自伝に興味深い記述を見つけた。戦後まもなく、少年時代の倉本が家庭教師に「資本主義とは何か?」と尋ねたところ、その教師は「壊れた時計を修理するのではなく、新たに買うこと」と答えたそう。なるほど、資本主義の一面を鋭く言い当ててますね。この番組は開始以来、モッタイナイ精神から派生する壊れたモノの修理やリメイクをメインに取材し、世界中から共感を得てきた。番組を制作していて感じるのは、「贅沢」という概念の変化だ。昔は修理せずに新たに買うことが贅沢だったのだが、今は古きモノを修理し続けながら使い続けることを贅沢と感じる人々が増えている。もちろん「資本主義」=「贅沢」ではないが、この番組も変化し続ける社会に寄り添って制作を続けていきたい。
三田豊

今月の放送(NHK WORLD-JAPAN )英語版 毎週金曜 午前10:45~11:45ほか

4月5日(金)
#43 Tick-TockTransformation「チクタクアート 永遠の時を刻む」 ※再放送
佐賀・鳥栖市で時計店を営む伊藤尚史さん。時計の修理職人である一方で、とても珍しいアーティストでもある。廃棄された時計の部品や修理時に交換した部品など、使い道のなくなったパーツで作られた蛙、馬、トンボなどの生き物たち──時計内部の美しさに魅せられ、かつ驚異的な器用さを持つ伊藤さんにしか作れないアート作品だ。この時計廃材を生かした「チクタクアート」は大きな話題を呼び、今では全国から役目を終えた時計が伊藤さんのもとに届く。送り主らと伊藤さんに共通するのは、長年時を刻んでくれた時計をただ捨ててしまうのは可哀想、時計たちに永遠の命を与えたい・・・そんな思いだ。

4月12日(金)
#44 Sawdust Clay「おがくず粘土」 ※再放送
東京の下町、葛飾区にある鉛筆工場の一角で、ユニークな商品が作られている。それはおがくずを原料とした粘土。発端となったのは、鉛筆の製造工程でやむなく出てしまう大量のおがくずを、なんとか有効活用したいという思い。現在社長を務める杉谷龍一さんが中心となり、何年もの試行錯誤を重ねて開発した。おがくず粘土の感触は、一般的な粘土とまったく変わらないが、粘り気のもとになっている糊は微生物が分解できる成分なので、環境への配慮がなされている。最大の特徴は、乾くと木とほぼ同じ成分の固形物になること。子供が安心して遊べることから、地元の保育施設でも重宝されている。

4月19日(金)
♯58 Judo Gis Forever「柔道着を使い尽くす」
柔道の指導者、さとう単さんは、着古された道着からバッグやペンケースを作る。道着は丈夫なので、生まれる雑貨も耐久性は十分。さとうさんの制作活動を支えているのは、何よりも「柔道への愛」だ。

<スペシャル番組放送のお知らせ>
Folk House Inn: Four Seasons [Special Edition]
      「古民家宿の四季を見つめて」49分番組 (D浅野直広
4月20日(土)10:10~ 16:10~ 22:10~  4月21日(日)4:10~
島根の山間にある小さな町で、古民家宿を営む松場登美さん。
廃材や廃品を再利用して作った空間に、自然の恵みを存分にいかした食事やインテリア。
季節に合わせた様々な工夫でお客をもてなす松場さんの1年を描きます。

4月26日(金)
♯45 Old Glove, New Dreams 「野球グローブ再生 夢をつなぐ」
日本で最も人気のあるスポーツ、野球。プロ選手を夢見て多くの若者が練習に励んでいる。だが野球には、使う道具が高額という側面があるのも事実。特に捕球に使うグローブはポジションによって構造が異なるものが必要なので、経済的な理由から競技を断念することさえある。そんな現状に一石を投じるべく、米沢谷友広さんは全国から中古のグローブを回収し、修理して安価で提供するシステムを考案した。作業を行うのは修理職人の大木賢さん。2人は「どんな子供にも平等に夢を見て欲しい」という思いで、3000個以上のグローブを再生させてきた。
    
※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。

※YouTubeのNHK WORLD JAPANのチャンネルでも「Zero Waste Life」は視聴いただけます。
 リンクはこちら(外部サイト)

NHK BSでも放送があります。英語版 毎週金曜 午前4:30~4:45

4月 5日 #33「地下鉄バッグ」(再放送)
4月12日 #34「海のゴミが絶品料理に」( 〃 )
4月19日 休止
4月26日 #35「ぬいぐるみ病院」( 〃 )

音楽

笠松泰洋

ナレーション

ガイ・ペリマン

音響効果

岡林亜実

ディレクター

鴨下満(#33)
間宮圭次郎(#34)
渡辺裕太(#35)
瀋志揚(#58)
奥野崇(#43、#45)
中嶋旭洋(#44)

AD

潘志揚

プロデューサー

琢磨修一

ゼネラルプロデューサー

三田豊