Zero Waste Life

Zero Waste Life

日本には昔からあらゆるものには大切な「命」があり、その「命を最後まで生かしきる」という思想が連綿と息づいてきた。それはモノの命を慈しむ、まさに「捨てない暮らし」そのもの。モノの命を慈しみながら暮らしを楽しむ人々の素晴らしさを世界に向けて伝える15分番組。
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脚本家・倉本聰の自伝に興味深い記述を見つけた。戦後まもなく、少年時代の倉本が家庭教師に「資本主義とは何か?」と尋ねたところ、その教師は「壊れた時計を修理するのではなく、新たに買うこと」と答えたそう。なるほど、資本主義の一面を鋭く言い当ててますね。この番組は開始以来、モッタイナイ精神から派生する壊れたモノの修理やリメイクをメインに取材し、世界中から共感を得てきた。番組を制作していて感じるのは、「贅沢」という概念の変化だ。昔は修理せずに新たに買うことが贅沢だったのだが、今は古きモノを修理し続けながら使い続けることを贅沢と感じる人々が増えている。もちろん「資本主義」=「贅沢」ではないが、この番組も変化し続ける社会に寄り添って制作を続けていきたい。
三田豊

今月の放送(NHK WORLD-JAPAN )英語版 毎週金曜 午前10:45~11:45ほか

5月3日
♯46 Local Produce, Local Color  農業廃棄物から生まれる色  D鴨下満  (再放送)
茨城県で生まれた関将史さんは、妻の裕子さんと共に染物工房を営んでいる。夫婦が染液の原料として使うのは規格外の野菜や果物、畑で間引かれた枝葉などの農業廃棄物。化学染料と違って想定した色に染まるとは限らないが、そんなところも作品の個性と考えている。農業廃棄物を使う背景には、捨てられる命を減らしたいという思いに加えて、もうひとつの目的がある。関さん夫婦は染め上がった作品に必ず原料と生産地を記すようにしている。農作物の知名度を上げ、茨城の農業を盛り上げることに、少しでも貢献したいのだという。

5月10日 
♯47 Bicycle Upcycle Cycle  生き続ける自転車パーツ D鴨下満  (再放送)
生活雑貨を作っている山本敦さんが材料に使うのは、使い道がなくなった自転車のパーツ。タイヤ、ブレーキ、バルブ…自転車を構成するパーツはたくさんあるが、中には再利用が難しいものも多い。チューブで作ったハンドバッグなどのアイデア商品を生み出してきた山本さんは、大の自転車好き。だからこそ、役目を終えた自転車がただ廃棄されてゆくのを見過ごせなかったのだ。自転車パーツのリメイクは手間と時間がかかる作業だが、彼にとって天職だという。なぜならその仕事が、一歩一歩踏み込むことで着実にゴールに近づける──自転車の運転と似ているからだ。

5月17日
♯59 Waste Flowers by Candlelight “もったいない”の灯火 D中嶋旭洋
日本で生産される花は、およそ2割が規格外として廃棄されている。中西恵さんはそんな花を使ってボタニカルキャンドルを作ってきた。迷ったり失敗する人間が魅力的であるように、規格外の花には何物にも代え難い美しさがあるという。
  
※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。

※YouTubeのNHK WORLD JAPANのチャンネルでも「Zero Waste Life」は視聴いただけます。
 リンクはこちら(外部サイト)

NHK BSでも放送があります。英語版 毎週金曜 午前4:30~4:45

5月 3日 #36 デニムのダルマ D瀋志揚  (再放送)
5月10日 #37 端材を生かした藍染め家具 D中村佑子 (再放送)
5月17日 #38 「害獣」の命いただく   D奥野崇  (再放送)
5月24日 #39 地球に還る服       D岡崎ひかり(再放送)
5月31日 #40 廃材の錬金術師      D藤原綾子 (再放送)

音楽

笠松泰洋

ナレーション

ガイ・ペリマン

音響効果

岡林亜実

ディレクター

鴨下満
瀋志揚
中村佑子
奥野崇
岡崎ひかり
藤原綾子
中島旭洋

AD

潘志揚

プロデューサー

琢磨修一

ゼネラルプロデューサー

三田豊