アナザーストーリーズ 運命の分岐点「高倉健と『幸福の黄色いハンカチ』」
憧れの山田洋次監督に取材をお願いした。
今日、返事のメールが届く。ドキドキする。
見るのがこわくて妻に頼んだ。
「転送するから、もしOKだったら
黄色いフラグをつけて送り返してくれる?」
妻は一言。「は?何言ってんの?」
『高倉健様 あなたがいなくなり
たいへんせちがらい世の中になりました』。
(坂田能成)
三島由紀夫は、死の数か月前、「このままいったら、日本はからっぽな極東の一経済大国」になってしまう、と憂えた。後日、高倉健はポール・シュレーダー監督『MISHIMA』の三島由紀夫役オファーを受け、その準備に専心した。ところが、遺族が映画化に反対、と知った途端、「では、やめましょう」と潔く身を引いた。この話は番組には出さない。(たぶん)しかし「失われつつある芯のある男の生き方」を尊んだ高倉健がよくわかるエピソードだと思う。
(合津直枝)