週刊ブックレビュー 2011年5月の放送分

週刊ブックレビュー 2011年5月の放送分

<テレビマンユニオン担当回>

5月21日(920号)
司会  藤沢 周/柘植恵水(NHKアナウンサー)
ゲスト 中条省平(学習院大学教授)/小池昌代(詩人・作家)/又吉直樹(芸 人)

特集 野地秩嘉『TOKYOオリンピック物語』(小学館)

 3月5日の放送でご紹介した歌人・東直子さんの歌集『十階-短歌日記2007』(ふらんす堂)は実にユニークな一冊です。十階の高さに住み暮らす東さんの2007年の一年間、その日その日に感じたことのほんの短い記述と、それに添える短歌が一首、一日の隙間もなく並べられているのです。この原稿を書いているのは2011年の2月18日。4年前の同じ日、東さんはこう書いています。「一週間くらい前から髪が波をうちはじめた。だんだんひどくなった。/今朝、もとに戻っていた。/いらいらしていたらしい」。そして一句「それはひどい春風でしたみんなみんな水中バレエの踊り手だった」。一日一日の思いが積み重ねられて一年になる。このあたりまえのことを、厚さ約3センチの小さな書物がしみじみと教えてくれるのです。
(市川 陽)

市川陽

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宇都浩一郎

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