新日本風土記「妖しの京都 清めの夏」

新日本風土記「妖しの京都 清めの夏」

<番組内容>
世界中から人々が訪れる京都。神社仏閣に花街、春の桜に秋の紅葉。だが、この街にはもう一つの顔がある。歴史の中で積み重なった「死」と「穢れ」、そして「清め」の物語。

京都は「死や穢れがすぐそばにあり、それを清め続けてきた都」だ。疫病の流行や飢饉、戦禍が繰り返され、「物の怪」や「怨霊」の気配がいたるところに漂っている。人々は夏になれば、半年の穢れを清める「茅の輪」をくぐり、厄を祓う和菓子「水無月」を食べる。夏の風物詩となっている「祇園祭」も、恐ろしい「荒ぶる神」を祀って疫病を退散させたいと始まった。目に見えぬ存在を受け入れ、畏れ敬う都人の営みを見つめる夏の旅。

【語り】松たか子

<スタッフコラム>
“京都人はイケズ(意地悪)”。下調べ中、何度も目にしたこのフレーズ。読めば読むほど怖くなった。どうか粗相しませんように…おっかなびっくり京都入りした。1か月の長期ロケ。京町家を一棟貸している格安の宿を見つけ合宿したのだが、周りはごく普通の住宅地だ。「あの人ら、何者やろか」と思われているはず。ゴミ出しのルールも完璧に守り、粗相なきよう暮らしていたある日の夕方。宿の目の前でお地蔵さんを撮影していると「あら、撮影してはんの?」と隣家からおばちゃんが。「すみません!無断で。」と慌ててお許しを請うた私達に、おばちゃんは「ええのよ。私のお父ちゃんがお地蔵さんここに置かはってん。喜んだはるわ。キレイに撮ったって」。あ、待っててや、と家に戻り、段ボールを抱えて出てきたおばちゃん。箱の中には真っ赤なトマトが!その場で果汁をしたたらせながらかぶりついた。京都人は“イケズ”って言った人、出てこい!このトマト、食べさせてやるわ。
(木村麻衣子)

ディレクター

宇都浩一郎 木村麻衣子

撮影

篠原裕弥

音声

河合正樹

音効

井田栄司

アシスタントD

園木杏実

制作

海老名真有美

プロデューサー

國分禎雄 宇都浩一郎