情熱大陸「建築家・藤森照信」

情熱大陸「建築家・藤森照信」

生活まわりに身近に木がある。ときには、森の中で育ったそのままの姿で。すまい(家並)は山に囲まれ、ふと顔をあげると自然の奥に何かが生きていると感じられる。僕たちが居る空間に、何かが宿っているように思う。自然豊かな一方、家の近くは交通量の多い道路が走り、大型のトラックも行き交う。大きな幹周りの大木が残り、朽ち果てているようみえるも、春になると小枝がのび若葉が黄緑をまとい、焦げ茶が色づく。
これは、藤森先生の長野の実家を訪れての印象ですが、非常に驚いた。懐かしい感覚を覚えてしまう、つまり僕の記憶と「重なる」のです。なぜかと思って上記のように列挙してみると、誠に勝手な解釈ですが、僕の生まれた田舎と同じ環境なのです。
匂いなのでしょうか、空なのか、山ぎわなのか、木の発する冷気なのか。まあ全体ひっくるめてなのでしょう。人々のはにかみ方、勤勉そうな様子も似ています。どこか、自分の生について納得して生きている感じが似ています。
先生は、建築は記憶装置の一つとおっしゃってましたが、第一は、山、次に都市、そして建築だということ。第一に、「山」なのです。僕の田舎では白山という霊峰が遠望できます。先生の故郷茅野はなんと言っても八ヶ岳です。この山は、おそらく誰しもに特別な何かを感じさせずにはおかない山。縄文の人々がここの麓に集まって暮らしていたことも、なぜか納得させられる様相を帯びています。ぜひ麓に立ち、登ってみてください。
本当に多くの方に見ていただきたい渾身の回となりました。ぜひご覧いただけましたら幸いです。
(下口谷充)

演出

下口谷 充
  

構成

田村 裕

撮影

池村 泰貴

音効 

井田 栄司

海外P

藤田 佳予子


プロデューサー

中村 卓也(MBS) 
下口谷 充