情熱大陸「建築家・山﨑健太郎」
施設ではなく「人が暮らす」場所を
福祉の当たり前を問い直す“縁側”
千葉県にあるデイサービスセンター「52間の縁側」。名前の通り、橋のように長い縁側を持つ木造の建物は、一見して福祉施設には見えない。
介護の必要な高齢者が過ごす場所に、近所の子どもたちが自然と遊びに来る。縁側でくつろぐ人、赤ちゃんを抱いたママの姿も。デイサービスでありながら、様々な人が不思議と集うこの建築が今、注目を浴びている。
設計したのは山﨑健太郎。この建築で日本建築学会賞、JIA日本建築大賞、グッドデザイン大賞を相次いで受賞した。
ホスピスや視覚障がい者支援施設、保育園など福祉施設の設計を多く手がけてきた山﨑。そのどれもが、「当たり前」を問い直すようなものばかりだ。つくるべきなのは「施設ではなく住まい」だと山﨑は言う。
工事を終えたばかりの沖縄の就労支援施設を山﨑と訪ねた。事務室、作業室、生活訓練室...、と用途ごとに部屋を分けず、ゆるやかにつながる空間をつくった。ひとりでいたい人はひとりのまま、それでも誰かと同じ場所にいられるように、建物の中には多様な居場所が散りばめられている。
彼の元には、都内最大級の日本庭園のある結婚式場の改修、里山の風景と融合するワイナリーやホテルの設計など、福祉施設にとどまらない依頼も寄せられていた。事務所には様々な案件の模型がずらりと並んでいる。
しかし山﨑の仕事は図面をひくことだけではない。現場に通い、利用者と話し、職人と汗をかく。ときには軍手をはめ、自ら土を掘る。石を積む。その姿は、図面や模型では確かめられない何かを探す、真に建築家らしい姿だ。
そんな山﨑にやってきた、これまでにない仕事。新しく検討されている開放型の刑務所だ。そのヒントを探しに、先進的とされるノルウェーを視察に訪れた。2025年6月の刑法改正により拘禁刑が導入され、「懲らしめから更生へ」と変革を迎える日本の矯正のあり方。その中で、山﨑は何に悩み、どのような形を見出そうとするのか。
スタッフ
ディレクター 池田一葵
アシスタント 松橋和也、佐野凪未
制作 飯笹雅之
プロデューサー 東考育