神の一手を体感!天才棋士たちの名勝負をビジュアル化

私は生粋の文系です。3歳上の兄を追いかけて同じ高校に進学し、そこから先も彼の後を追いかける気になっていましたが、兄が選んだ理系にはどうやってもいける気がせず、以来、数学なるものをできるだけ遠ざけて生きてきました。
プロ棋士のほとんどが理系の頭脳を持っていると言われます。なぜって、膨大な枝分かれの選択肢の中から瞬時に最適解を導き出すのは、並外れた計算能力の賜物でしかないからです。将棋には、スポーツのような偶然が入り込む余地は一切なく、勝ち負けはすべて自分の計算能力と、それを機能させるための冷静さによって決まります。だから、計算力の乏しい私には絶望的に不向きな世界です。
ただ、理解できないからこそ興味が湧きます。仕方なく文系的に解釈したくなります。テレビマンの多くが、藤井聡太の食べた昼メシを話題にしてしまうことを責める気にはなれません。藤井だって人間なんだと思って安心したい。杉本という師匠との話にホッコリして、なぜか親目線で見てしまう。着物の色やお気に入りのお茶について語るのも今や立派な将棋通なのかも知れません。ただ、これだけ藤井フィーバーが続いているのだから、そろそろ誤魔化しはやめて、棋士がやろうとしていること、彼らの頭で起きていること、将棋って何なのかを、ほんの少しでも分かった気になれないものか、などと不遜にも思い始めました。で、文系にも分かる形でトップ棋士のすごさを語り合う番組作りに挑むことになりました。
背面側面床面がすべてLEDモニターになっているスタジオで、棋士の頭脳と一体になったかのようなデジタル将棋盤の上を将棋好きたちが勝手気ままに歩き回ります。神が舞い降りたかのような奇跡的な一手が飛び出した瞬間、出演者を取り囲むすべての面に稲妻が走り、出演者たちの毛が一斉に逆立つ。なんてことを想定しています。棋士の頭に電極をつけて脳波を計ったりはしません。あくまでも文系的アプローチで将棋の世界にまっすぐ深入りしたいと思います。
(岸枢宇己)

出演

【司会】高橋茂雄 
【ゲスト】杉山愛 塩田武士 波戸康広 伊藤かりん
【解説】加藤一二三 木村一基
【語り】岡本信彦

プロデューサー/演出

岸枢宇己

ディレクター

永田曉児 熊倉健一

制作

伊藤恵

キャスティング

嶺村友江

リサーチ

髙村敬一

応援

浦本康平 花田美乃莉

監修

鈴木肇(元アマチュア名人)