BS歴史館 2013年10月の放送
テレビマンユニオン担当回
10月3日(木)/10月17日(木)
「歴史とは現在と過去との対話である-」
かつてイギリスの著名な歴史家E.H.カーはこう記した。
目まぐるしく変貌する現代社会。政治、経済、文化、ミクロなレベルでは家族、男と女・・・。急速に展開するグローバル化やボーダレス化は、時計の針を猛スピードで進め、現代を生きる私たちはどこに立っているかさえわからなくなる。この時代をどう生き抜けばいいのか・・・明快な答えはない。
しかしひとたび、過去に眼を転じれば、時代時代にまさしく目まぐるしく変わる事象にリアルタイムで向き合い、悩み、格闘した先人たちの等身大の「歴史」がある。
よくあるサスペンスドラマのクライマックスの舞台は、何と言っても京都・南禅寺の琵琶湖疎水であろう。明治初期に行われた一大公共事業によって作られたこの疎水は、水源のない古都を潤した。近代国家へ舵をきった新政府が行った、数々の公共事業。しかしこれに関しては、どうも明治政府の「ごめんね事業」だったよう。
というのも、泰平の江戸時代が終わり、新時代の幕が開けた明治。政治の中心は江戸から京都へ戻った。ところがわずか2年で、その機能は東京へと移される。大久保利通らを中心にした新政府は、早急に新しい日本を作るため首都移転を画策したのだ。当然、京都の人達は大反対! そこで新政府は、京都の人達を欺くようにして首都移転を完了させてしまった。千年の都・京都が日本の首都でなくなったその時、江戸は東京と、名を改めた。
かくして求心力を失った京都は一気に寂びれ、人口も半減。京都御苑の周りは桑畑だらけに…その荒廃を見かねた新政府は「ごめんね」な気があったかどうかはわからないが、せめてもの罪滅ぼしで京都に多額の支援金を出す事となる。その支援金で作られたのが琵琶湖疎水でだった。さらに今話題の新島襄らが同志社英学校を開くなど学校制度を整え、日本で初めての小学校が出来るなど、学生の街京都ができた。
こうして京都の面子は保たれた? かどうかはわからないが、当時の京都人の見事な欺かれっぷりは見事な物で、京都出身者として恥ずかしい限りである。いやこうして『学生の街』で満足させられている自分も十分欺かれているのでは…
(畑中皓太)
受賞のお知らせ
渡辺真理さん “放送人グランプリ2013 特別賞” 受賞!
「BS歴史館」の司会として、渡辺真理さんが特別賞を受賞しました。
BS歴史館「伊能忠敬 ~「日本」を知らしめた男~」(2012年10月放送)が
「第50回 ギャラクシー賞」奨励賞を受賞しました。
10月3日(木)放送
上杉謙信 天下取りの方程式を見つけろ!
ディレクター 佐藤憲正
リサーチ 高村敬一
10月17日(木)放送
シリーズ 日本の転換点(2)「東京遷都 マル秘大作戦」
ディレクター 小林陽子
リサーチ 高村敬一
プロデューサー
アシスタントプロデューサー
五鬼助洋美
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黒住聡丈 畑中皓太
山崎美生 上田真美
制作統括
齋藤圭介(NHK)
菊池正浩(NEP)
谷口雅一(NEP)