“料理は人を作る”…、誰か昔の偉い人が云ってそうな言葉ですが、まんざらでもなさそうです。
焼き物の里・瀬戸市のお洒落な食器で有名なある陶器メーカーでは、新入社員がランチ当番をしなくてはいけない社員食堂がありました。料理上手な社長さんは、新人と一緒に厨房に立ち、彼らの一挙手一投足をチェック。社長に認められないと研修期間が終わらないという厳しさ。
刀剣研ぎ師という厳しい職人の現場では、一番若いお弟子さんがもう７年、師匠と兄弟子たちの食事を一日二食作っていました。さすがに主婦顔負けの見事な包丁さばき。でも新たな弟子が入るまで賄いの日々は終わらないんだそうです。
…料理と仕事。正直関係ないと思ってました。でも実は、段取り、思いやり、細やかさ、美的センス、さらには予算管理やサービス精神と、料理には“何かのプロ”に必要なあらゆる要素が詰まっているコトを強く実感した、秋のサラメシでした。
（松葉直彦）