女優・戸田恵梨香が、女優人生で何よりも嬉しかったことがある。フジテレビ『コード・ブルー　-ドクターヘリ緊急救命-』で、勝気なフライトドクター候補生を熱演した直後のこと。全国各地でドクターヘリが急速に普及していったのだ。女優という仕事が、人命救助の現場に影響を与えたことに、この上ない喜びを感じた。そんな彼女が、あるドキュメンタリーに感銘を受けた。『情熱大陸・吉岡秀人』。ＮＧＯ医師・吉岡秀人（46歳）が、ミャンマー貧困地区に入り込んで、無償で手術を行い、人々を救う物語だ。惹かれたのには訳がある。戸田自身、6歳の時に阪神大震災で被災し、「命」というテーマを、いつも心のどこかに抱えてきたからだ。
が…一昨年の東日本大震災。多くの著名人がチャリティに励む中、彼女は「生半可な優しさが役に立つのか」…身動きが取れなかった。その戸田が、今回、ミャンマーの吉岡医師の元を訪ねる。「何ができるか考え込むより、飛び込んでみろ」。自分が喜びを感じるから人を助ける…そのシンプルな姿勢が心に刺さった。この番組は、ミャンマーへの心の旅を主軸に、NHKドラマ「書店員ミチルの身の上話」の撮影現場を交えて構成。「人生を変える旅になった」と、戸田。ディレクターは、あの『情熱大陸』を演出した、東Dだ…。
（國分禎雄）