サラメシ 2023年6月
油断した。やっぱりテレビはちゃんと攻めてないと…と反省したのは、今年正月明けのこと。山手線が丸2日かけ、一部運休しての大工事が渋谷駅で行われた。「サラメシの取材入ってないかな」「72時間かサラメシ密着してる気がする」などSNSのコメントでサラメシの文字を見つけ、喜ぶよりも先に、そんな準備なんて一切していなかったことに気づいたのだ。まさに油断。
様々なプロが4000人も動員され、山手線のレールを3m近くも人力で移動させる…、そんな大工事を丸2日で終わらせるための綿密な計画もある…、その日報道された記事をあれこれ読むと、そこは働くオトナだらけ。サラメシが大好物な現場だった。
コロナ禍の3年、いろんな制限や不自由に気づかれずに番組を維持すべく、あの手この手と繰り出していたつもりだったが、実はディフェンス一辺倒だったのかも知れない。以前は、あの会社が100周年だ! 秋にはこんなイベントが! 来年アレが完成する!などと、どんな現場にもその裏には働くオトナがいる…と、貪欲だったのに。それじゃあ点は取れない。やっぱりエンタメは攻めていかないと!
最近、放送作家・鈴木おさむさんのインタビュー記事で、サブスク配信全盛に見える今、テレビの良さとは? と問われ、「生活の中で風景になれることかな…」とのコメントに妙に納得した。たしかにテレビは時計代わりでありカレンダー代わりだった。いまも季節の移ろいや時の流れ、時代の空気感のようなものが感じられる。NetflixやAmazonPrimeなど配信コンテンツでは、たぶん必要とされない役割に感じるが、テレビにはきっとこれからも必要だ。
どんな切り口で、どんな手法で、僕らの暮らしている“いま”を感じさせられるか? 思えばサラメシでも、事前の準備が相当面倒なのに、祇園祭やねぶた祭りなど大きな祭りを取材したり、オリンピックの舞台裏でディレクターたちが右往左往した。暮らしの中の風景や季節…“いま”を、伝えたかったからだ。まだまだすべてがコロナ禍以前のように…とはいかないだろうが、久しぶりに攻めの姿勢を思い出し、これからも“いま”を感じられるテレビでありたいと思う、13年目のサラメシです。
(松葉直彦)
今月の放送
シーズン13 #7 「駆ける名馬!競馬場整備▽ホンジュラス日本大使▽水木一郎」
6月1日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/6月4日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送6月8日(木)ひる 12:20~12:43
数々の名馬が駆け抜ける東京競馬場。馬場の整備をしている入社5年目の小坂さん。主にダートコースの整備や芝刈りなど担当している。レースの合間は、短時間での整備やチームワークが求められる。競馬を陰で支える仕事ぶりを拝見!▽「大使メシ」は、中米ホンジュラスから日本大使の自撮りサラメシをお届け!▽特撮、アニメソングの歌手として海外でも知られている歌手の水木一郎。“アニキ”の愛した味とは?
シーズン13 #8 「魚の剥製プロの技!▽英国のヴィオラ奏者」
6月8日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>
再放送6月15日(木)ひる 12:20~12:43
長野県松本市、魚の剥製を作っている小さな工房がある。依頼は水族館や博物館、釣り人など、展示や記念目的などさまざま。工房を営む小川さんが、解体から仕上げまで1人で行っている。脱サラをし、剥製作りの道に進んだ小川さんの思いを伝える▽サラメシ海外特派員は、イギリスのBBCフィルハーモニックで活躍しているヴィオラの副首席奏者、牧野葵美さんのお弁当ライフをお届け!▽「ランチ絵に描いて」東京丸の内から
シーズン13 #9 「「週刊朝日」最後の校了▽青空ランチのわけ」
6月15日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/6月18日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送6月22日(木)ひる 12:20~12:43
大正11年創刊の総合週刊誌「週刊朝日」が先月末休刊となった。101年の歴史の幕を閉じる時、 噛(か)みしめるサラメシはどんな味なのか?現場で働くオトナたちは、どんな思いで最後の瞬間を迎えるのか?休刊までの10日間、編集部の仕事とランチを撮影させていただきました▽外で食べるランチって、特別においしく感じませんか?そこで、青空の下のランチを愛するみなさんに聞きました。教えて!「ソラメシ」のワケ!
シーズン13 #10 「G7広島サミットのランチ▽中村吉右衛門」
6月22日(木)19:30~19:57<関西地方のぞく>/6月25日(日)あさ 8:00~8:23<関西地方のみ>
再放送6月29日(木)ひる 12:20~12:43
先月開催されたG7広島サミット。世界的イベントが日本で開催される!となるとやっぱりランチが気になっちゃって…。場違いとは知りつつも取材に出かけたのは世界中の報道陣が集まる国際メディアセンター。メインダイニングで待ち伏せて彼らのサラメシをのぞき見です!▽歌舞伎俳優、二代目・中村吉右衛門。伝統に生きる役者が通った浅草・雷門にほど近い老舗の蕎麦屋。店主が語るその実直な人柄と彼が好んだ食べ方の流儀とは。
再放送のお知らせ
シーズン12 #7「新米ガラス職人奮闘▽境港のぎんざけ養殖生けす」
6月1日(木)ひる 12:20~12:43
茨城・古河市のガラス工場。ビーカーからキッチン用品まで幅広い耐熱ガラス品を製造する工場では、手吹きの職人たちが今も活躍している。職人にあこがれて工場勤務を希望した新人の鈴木さんは78歳のベテラン金野さんの指導を受け修行の日々。年の差53歳の名コンビの仕事とランチ▽境港の水産会社で働く奥山さんは魚が大好き。仕事の傍ら魚の魅力を伝える動画も配信。仕事も私生活も魚尽くしの24歳、こだわり手作り弁当を拝見
サラメシ英語版
『Lunch On!』
NHKワールドJAPAN 木曜13:30~、17:30~ 金曜1:30~、8:30~
6月 1日「仙台せり収穫メシ▽家族のごちそう定期便」
6月 8日「まるごと!サラメシ海外特派員SP」
6月15日「旬をお届け!大阪の水なす農家」※再放送
6月22日「秋田の曲げわっぱ職人」※再放送
6月29日「淡路島の鬼瓦工房」※再放送
ナレーション
中井 貴一
プロデューサー
松葉直彦 松尾明美
アシスタントプロデューサー
宮﨑和子
構成
たむらようこ 服部真由子
リサーチ
冨田紀子
音効
井田栄司