食彩の王国 2024年4月
生産者や料理人を応援しています
能登半島の大震災には、心が痛む。かつて取材させてもらった震源地に近い方々も被災している。ニュース番組などで、その当人が被災者のために炊き出しをしている姿を見ると、安堵すると共に頭が下がる。ご自身も大変な状況なのに、ストックしてあるだけの食材を分かち合おうというのだから素晴らしい。
今年最初の放送は、加賀れんこんだった。取材地は金沢市。取材先の人々の無事と被災状況を確認し、「この番組は先月取材したものです」とお断りテロップも入れたが、「同じ石川県が大変な被害にあっているのに、何事もなかったような放送をするとは何事だ」と、視聴者からテレビ朝日にお叱りの電話が入ったそうだ。旬の食材をテーマにしながら放送という業務に関わるもののジレンマだ。
当番組ではコロナ禍で日本中が苦しんでいる時から、番組の最後に本編の10秒間を割いて、『「食彩の王国」は日本の食を守るために奮闘する生産者や料理人を応援しています』と、薬師丸ひろ子さんの語りと共にテロップを入れてきた。これが偽らざる番組の精神だ。
(土橋正道)