旅をするのは、銅版画家の小松美羽（こまつみわ）さん。その美貌とは裏腹に、彼女の作品は人間の心の底にひそむ感情をえぐり出したかのような、どこか恐ろしい、独自の世界が広がっています。中高生のころは学校にも行かず、引きこもって絵ばかり描いていたという小松さんは、心の中のモヤモヤしたもの、許せないことを絵にぶつけていました。
　小松さんが目指すのは、アフリカでも豊かな自然を誇るウガンダ。内戦終結後、高経済成長を維持する復興国です。しかし長らく続いた争いの爪跡は深く、深刻な問題を抱えています。人間によって絶滅寸前にまで追い込まれてしまった動物たち、幼くして戦争に参加させられた元子供兵。旅を通じて世界の矛盾、そしてその先に見える希望を見出し、新たな作品作りに挑みます。（高木　昇）