ズームバック×オチアイ「落合陽一、オードリータンにふたたび会う」(前・後編)

出演 落合陽一
   オードリー・タン


ズームバック×オチアイは、「約束」でありたいと思っている。

番組編集長を務める落合陽一さんは最近こんなことを呟いた。

”「やるべきこと」を「メディアで言う」と「変わるものが変わらなく」なる”
(2021年12月21日 twitterより)

耳触りの良い言葉は耳触りが良いから耳触りで満足して、
手を動かすところまで行かないことがある。
特にコロナ禍、未曾有の混乱を鎮める「鎮静剤」のように
言葉を聞くことが増え、言葉「だけ」でとどまることも同時に増えた。

編集長の呟きに、まさに「メディア」の一員であるゆえの緊張を増すと共に
「ならばこそ、お楽しみに」という思いも僕は抱いた。手ぐすねを引いた。
なぜか?
その呟きを見たのは、オードリー・タンさんとの再会を収録する
まさに直前だったからだ。

オードリー・タンさん。
2020年に当番組で対談して以来、彼女の名前を見ない日は無かった。
テレビに、雑誌に、シンポジウムに。

いま日本で最も人気ある外国人ではないかと思うほど。
どんな凡百の問い(さすがに生い立ちのことなどはもう問いすぎだと思う)も
問えば七色の回答が飛び出す「言葉の魔術師」、それは確かにそう。
だからコロナ禍で人気を集めた。それもそうかもしれない。

でも。

僕がオードリーさんに感じる最大の魅力は
「やってから、その体験から生まれた言葉を、紡ぐ人」
であることだ。

彼女の名が世界に知られた、2020年初のマスク確保マップも。
今回も番組で取り上げる、QRコードを用いた感染対策も。
オードリーさんは常に「水」を流す「新しい水路」まで築いてから、
その「水路」の使い方を示すために語る。
語ってからやるのではなく、常に、やってから語る。だから言葉が強い。
耳触りだけにとどまらない、行動の裏打ちある言葉。

それは落合さんも同じだ。
「メディアに割く時間を2%以内にする」というルールからも分かる通り、
98%は言葉以前に「やること」を「やっている」。
例えば大学の研究室を訪れると、学生さんとの会話に僕は目眩を覚える。
こんなに教育も「やっている」のか、とおののくのだ。

”「やらない」方向にひとり言葉を投げかけるのはもうイヤだ。”
そんな風に編集長の呟きを受け止めた私は、
2度目の対談となった今回、出来る限り、
「やっている同士」の言葉が掛け合わさる司会進行に努めた。

手応えを感じたのは始まってすぐ。
1度目の対談の前、スタジオに向かう道すがらで落合さんは
「オードリーがどれだけ笑うかが肝」と言っていた。
「みんな同じことばかり聞きすぎるから。笑っている時は
 とびきり新鮮な話ができている証」と。
1度目は3時間、天才たちの司会をするのに精一杯で、
どんどん僕が質問を投げかけすぎ、質問のオリジナリティには
心配っても「笑顔」まではなかなかギリギリ考えきれなかった。
でも、2度目の今回。
始まってすぐ、ふたりが笑顔で談笑する場面があちこちに。
その内容はぜひ番組をご覧いただきたいが、
笑っているからといって真剣でないわけではないむしろその逆。
互いが互いの話に膝打ち、刺激受け、活性化しているがゆえの「笑い」が
そこに生まれていた。

番組(司会としての僕)が投げかけたのはこんなテーマ。
コロナ禍3年目の子ども。
人口減少と高齢化。
新しい福祉とインクルーシブ。
テクノロジーが生み出す不平等。
どれも2022年のいま考えるべきと投げかけたテーマだが
「やることやっている」2人は、体験に根差しながらとびきりのヒントを
いくつも提示してくれた。

2020年の夏、最初の対談をした時、
「またやりましょう」と言った約束を今回果たし。
今回の対談の最後にも「またやりましょう」という約束を結んだ。
この約束はずっと果たして行きたいと思っているが、
できれば番組をご覧になった皆さんとも「約束」ができればと思う。
落合陽一とオードリータン、このふたりが掲げたとびきりのヒントを、
ぜひ行動に活かし、変わるものを変えながら、進んでいって欲しい。

停滞のなかを模索した2020年、
回復し歩み出した2021年を経て、
疾走しながら考え続ける2022年へ。
その「ブースター」となる2本の番組です。ぜひご覧ください。
(阿部 修英)

<放送日時>
Eテレ 2週連続放送
(前編)2022年1月14日 22:30〜23:00
    【再放送 1月19日(水)10:25〜10:55】
(後編)2022年1月21日 22:30〜23:00
    【再放送 1月26日(水)10:25〜10:55】

NHKプラスでも見逃し配信!

書籍『ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える』
NHK出版 2022年1月15日発行 定価1700円+税

番組ホームページはこちら

総合演出&P

阿部 修英

スタジオ演出

谷本 庄平

VTRディレクター

小林 直希
髙村 安以
中川 奈津子

アシスタント 

儀武 良公斗

プロデューサー 

大西 隼

コーディネーター

郭 麗蘭

デスク

竹之内優子(NHKエンタープライズ)

制作統括

河瀬 大作(NHKエンタープライズ)
松永 真一(NHK)