
日本には昔からあらゆるモノには大切な「命」があり、「その命を最後まで生かし尽くす」という叡智が息づいてきた。地球の未来を思いやり、様々な命を慈しみながら暮らしたり活動する人々の魅力を世界へと伝える15分番組。
===================================
数年前の夏に娘と京都へ出かけた際に、面白い絵巻に遭遇した。東山・高台寺所蔵の百鬼夜行絵巻。鬼たちに混じって、お釜や傘・ほうきなどの暮らしの道具が、ユーモラスな妖怪に姿を変えて徘徊している。道具、建物なども年月を経ると精霊が宿り、妖怪、お化けとなって真夜中に独りでに動き出すというのだ。身の回りの品々を大切に扱うと、その妖怪は良い行いをするが、粗雑に扱ったり寿命まで使い尽くさないと、仕返しにやって来るという。何事もそれぞれに宿った命を大切にするように!という戒め。コミカルに「モッタイナイ」精神の神髄を伝える先人の思いに触れられた、愉快な一時だった。
(三田 豊)